運命と必然
「体調でも、悪いのか?」
その一言が貴方を好きになった理由だった。
くだらない日常で、私は痛む頭をおさえながら授業を受けていた。
朝から体調が悪かった。
でも、父親もそんな私には気付かずに、私をアカデミーに向かわせた。
別に、父親に期待なんてしてない。
どうせ、私なんかに興味のないあの人は気付かないだろうとは思っていた。
私は、誰にも気付かれないまま、淘汰される存在なんだ。
ぼんやりと、そんなことを思ってしまった。
熱くなる身体とは反対に寒気を感じる。紅潮する頬に、視界が潤む。
でも、どうせ、私なんかに気が付く人はいない。
そう、思ってた。
私の視界いっぱいに金色が広がる。
「体調でも、悪いのか?」
そう、心配そうに聞くのはうずまきナルト。この世界の主人公で、ヒナタの好きな人。
その言葉は、私が欲しかったものだったかもしれない。
彼の言葉に、瞳からボロボロと涙が零れてくる。
「ど、どうしたんだってばよ…?」
『ひゅっ…ひっく……、』
「なんか、あったのか…?」
『ぅぁぁぁぁあああんん…!!!!!』
彼の言葉に私の涙は止まらずに、大声をだしてワンワン泣く。
なにがなんだかわからない。
でも、すごく胸があったかくて、
「あー!泣くなってばよ!」
遠慮しながら、私の頭を撫でてくれる彼に、私は確かに恋をした。
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