貴方の腕の中で死にたい
泣きそうな顔で私を見る彼が愛おしくて愛おしくて、そんなこと思っちゃいけないんだ、って思っても、彼が愛おしくてたまらない。
「なぁ、なんでそんなこと言うんだよ…」
震えながらそう零す声に私は何も言えなくて、
ただ、私は困惑するばかりだった。
「お前はオレのだろ、?」
『っー!』
その言葉が嬉しくて、嬉しくて、
私なんかでも彼のものになれるんだ、と。泣きたいくらいに嬉しい。
「オレは、」
『ナルトく、ん?』
「アオイはオレのものだから、アオイの身体も心も命も、血液も、全部全部オレのだから、」
キュッと私の首に彼の手があてがわれる。
「勝手にオレから離れることは許さねぇ。」
そう言う彼の瞳はギラギラと濁っていて、ぼんやりと、ぼんやりとだけど、私の瞳もあんなふうに濁っていればいいな、と願ってしまった。
ナルトくんが言うように、きっと私のすべてはナルトくんのもので、私はナルトくんのために生きてるんだと思う。
だって、私はこんなにナルトくんが愛おしくて、愛おしくてたまらない。
好きなんかじゃなくて、愛してるなんかじゃなくて、もっともっと強いもの。
この気持ちをなんて表したらいいのかわからないけど、きっと綺麗なものなんかじゃない。
『ナルトくん、ナルトく、好き、だいすき、あいしてるの、』
ねぇ、ナルトくんは私のこの汚くてドロドロとした気持ちを受け入れてくれる?
誰からも、愛されなかった私を、愛してくれますか?
「オレも、愛してる。」
フワリと微笑むナルトくん。
私はきっとナルトくんのためだけに、ヒナタと入れ替わったのだと、ナルトくんの腕の中に抱かれながら、そう思った。
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