家に帰ろう
名前で呼んで、と。
オレに縋るように言葉を紡ぐヒナタ、いやアオイにゾクゾクとした快感を感じた。
いま、アオイの瞳に映ってるのはオレだけで、
アオイにはオレ以外必要ないのだと、そう錯覚しそうになる。
アカデミーの時に、ヒナタが人が変わったようだと気付いたのはオレの間違いではなかった。
だって、泣きながらオレに暁に呼ばせていた名前を呼べと懇願したんだから。
あぁ、でもオレより先に暁がオレのアオイの名前を呼んでたのはムカつくな。
オレに縋りついたまま、毒が回ったのかぐったりとして気絶したアオイにキスを落とす。
別にアオイが何故ヒナタじゃないかとかはどうでもいい。
だって、オレが愛おしく感じたのはヒナタじゃなくてアオイだから。
もう、オレのもんだ。
オレ以外は必要ない。
「おい、」
「あ?…シカマルかよ。なんだ。」
オレがここ二年で伸びたアオイの髪を梳いていると、後ろにきたシカマルにイラっとする。
それを隠さずに舌打ちをすれば、シカマルはダルそうにオレたちに近付く。
「暁のやつら、どうすんだよ。」
「あぁ、適当に処理しとけ。」
「めんどくせー。つーか、お前ヒナタになにしたんだよ…顔色悪ぃぞ。」
「関係ねぇだろ?死ぬようなやつじゃねぇよ。」
オレの言葉にシカマルがなにか言いたそうな顔をしていたのを無視して、さっさと里に帰ろうとアオイを横抱きにして立ち上がる。
すでにアオイの部屋の作って、オレ以外入れないように幻術をかけてある。
シカマルすらも入ってこれないような強固な幻術。
アオイの、オレのためだけの家。
『ん…、』
「じゃあ、後始末頼んだからな。」
「は?お前は?」
「関係ねぇだろ。」
「ヒナタ関連かよ…めんどくせーな…」
シカマルのいつもの口癖を後ろに、木の葉の里に向かった。
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