予定調和の物語
気付いたら私は“ヒナタ”だった。
寝て、目が覚めたら、私はアカデミーの席に座っていた。
その事実に発狂して叫んで泣いて暴れて塞いで、すべてを否定した。
私の名前を呼ぶ人がいない。
その事実がどれだけ恐ろしくて哀しいことか分かる?
私はヒナタじゃない。
ヒナタなんかじゃないんだよ。
私はアオイだ。
私は私でしかないの。
それでも私はヒナタの代わりに過ごした。
誰にも、なにも話さず。
ヒナタと同じようにか弱い女の子を演じ続けた。
くだらない、
私なんかに対抗心を燃やす妹。
私を怨む従兄弟。
すべてがくだらすぎて、笑える。
でも、くだらなかった世界に光が射した。
太陽のような貴方のことを、
私は彼女と同じように好きになった。
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