私の名前を呼んで、
「なぁ、あいつらが言ってたアオイって誰だ?」
その言葉を聞いたとたん、一瞬息をするのをやめて彼を見る。
次の瞬間に来る感情は叫びたくなるほどの歓喜。
彼が名前を呼んでくれた一生呼んでなんかもらえないと諦めていたのに愛おしい愛おしい好き好きなのだいすき愛してるもっともっともっと私の名前を呼んで、
「無視はよくないってばよ?」
『ぁ…、』
そう言ってナルトくんは私の顎を掴んで自分の目と目を強制的に合わせる。
とたん、恥ずかしくて顔が真っ赤に染まる。
でも、それと同時に嬉しくて、いいようのない高揚感にフワフワする。
「なぁ、ヒナタ。聞いてるのか?」
『ちが、ゃ…、ちがうの、おねがっ…』
ナルトくんの服の裾をぎゅぅっと掴んで、彼の瞳を見る。
一度、彼に名前を呼ばれたら、それ以外の名前が彼から紡がれることが、イヤで、
「ヒナタ、?」
『ゃっ、ダメっ、』
その名前が聞きたくなくて。
両手で彼の口に手を当てて、首をフルフルと振る。
『やめてやめてやめて、ちがうの、イヤなのっ、名前で、名前で呼んで、?ナルトくんナルトくん、ねぇ、名前で、』
ナルトくんに縋るように、私は手に力を込めた。
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