太陽 | ナノ


  貴方のことしか考えられない


知らない知らない知らない…!!!
こんな展開を私は知らない!


私たちの目の前には日向ネジ。

笠を深く被っているおかげか、彼はまだ私の、日向ヒナタの存在に気付いていないようだった。


「チッ、」
『サソリさ、』
「アオイは先に行ってろ。」
『でも、』
「いいからいけ。」


強く、殺気まで込められながら、言われてはなにも言えなくなる。
サソリさんに言われた通り、私は踵を返すと砂漠のある方へ走った。


走って走って走る。
なぜ、なぜ、


『原作と違うの…!』


混乱する頭で考える。

私がヒナタになってる時点で、確かに原作とは違う。
でも、それはただヒナタが原作から姿を消しただけで、根本的なところは変わらないんじゃないの?
だって、私が里にいた時は、私の記憶の通りだったもの。


『ぁっ、』


足がもつれて転んだ。
膝がじんわりと痛みを孕む。

わけわかんない。わけわかんないよ。
ぐるぐるぐるぐると頭の中を巡るのは、自分が識らないことが起こったことへの恐怖。

そして、私の頭からこびりついて離れない彼のこと。


意図せずに私の両目からは涙がボロボロと零れ落ちる。

もし、もしも、私がいることで、原作と変わってしまったら、私はどうすればいいの?

私の知らないところでなにが起こったの?

……もしも、原作が変わるなら、彼が、私を好きになった未来もあったの?


結局、私の頭の中にあるのは彼のことだけで、

ヒナタに悪びれない自分が嫌い。
彼のことしか考えられない自分が憎い。
他人なんかどうでもよくて、私は彼が欲しかったの。


「やっと、見つけた…、」


その声に振り向くと、太陽に反射してキラキラとひかる髪を揺らした彼が歪な笑みを浮かべていた。



prev / next

[TOP]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -