太陽 | ナノ


  なにかが崩れる


忘れてしまえばすごく幸せなのかもしれない。



「おい、砂の里にいくぞ。」
『……はい。』


サソリさんに言われて返事を返した。
私の知っている物語が始まる。

キラリ、私の指にはめられた暁の証がひかる。
私に与えられた一文字は【愛】でした。



「サソリの旦那は見てればいい……うん。里へは上から攻める。」


デイダラさんが“鳥”を出す。
生きていない。爆発するためだけの“鳥”。

まるで当て馬。それはかつての私のようで笑えた。


「アオイ、人柱力はどこにいるんだ、うん。」
『……一番大きな塔です。』


素直にそう言えば、デイダラさんはニヤリと笑って空を飛んだ。

白眼を使って里全体を見る。
すると、何処かおかしい。

私の覚えている話ではこんなに警戒していなかった。いなかった、はずなの。


『違う…、』
「どうかしたのか。」
『駄目、駄目です…、違います…、』
「…おい、」


白眼で見るだけでわかる。


何十人もの、

木の葉の人間がいる。

それに気付くと同時にサーッと血の気が引いてガクガクと体が震える。


『サソリさん、逃げた方がいいです。デイダラさんに、ここには木の葉の忍もいます…!』
「!」


その言葉と同時に懐かしい気配。
そして、攻撃。

私たちはそれをギリギリで避ける。
砂ぼこりが舞い、目に砂が入ってしまった。


「お前たちが暁だな。」
『っ、』
「誰だ、お前は。」


その声は、私の従兄弟の声でした。


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