太陽 | ナノ


  歪みはどこの世界にもあることで


あの夜、私は木の葉を抜けた。
案外、私は一人でも生きていられた。

なんで、私はあそこであんなくだらない茶番をしたんだろう。

馬鹿みたい。


『…私が暁にですか。』
「あぁ。」


そう言う男に笑いが零れる。
男、トビは私が欲しいと。

くだらないくだらない。

でも、もしもまた、彼に、太陽のような彼に逢えるなら、


『いい、ですよ。』
「…そうか。」
『ただ、私は貴方を裏切る可能性もあるので。』
「わかっている。」


あぁ、私は彼が好きなの。
私が里を抜けてから二年以上経っても、私は彼を嫌いになんてなれなくて、


胸が、締め付けるように痛い。


愛してる、なんて言葉じゃ足りなくて、
彼への想いは募る一方で、

ナルトくん。
私、死ぬときは貴方に殺してもらいないな。


そんなこと無理だってわかってるのに、
優しい彼は私を殺すなんて出来ない。

あの時、死んでしまえば。
こんなに苦しまなくて済んだのに。

なにを、やってるんだろう。私。

死ぬことが怖くて、人に殺されることだけを夢見て、


好きだよ。ナルトくん。
だから、私の名前を呼んで、




自分のことばかり考えていた私は知らなかった。
もう、すでに物語は私の知らない物語になっていたことも、

彼が、歪んでいることも、


世界は歪みきっていて、
それは私の世界でもあった。


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