昔、昔あるところにそれはそれは豊かで平和な国があった。
民は幸せで、治める城主は人が良く、聡明な娘と無邪気に笑う娘をたいそう可愛がっていた。
だが、人には必ず裏があると言うようにその城主にも裏があった。
城主の善人面は偽りの仮面。
実際は城の地下に稚児を囲い虐待するような最低な男だった。
城主は地下にいる稚児だけでは飽き足らず、自分の娘たちにまで手を出した。
姉は妹を庇おうと必死だったが所詮は子ども。
男、しかも大人に敵うはずもなく妹は城主に酷い拷問や、性的虐待も受けた。
姉より酷い拷問を受けた妹はいつしか笑うことがなくなった。
姉は嘆き、哀しんだ。
何故、自分たちがこんな酷いことをされなくてはいけないのか。
何故、妹の笑顔が消えてしまったのか。
ある日二人は自分たちと同じ境遇の男子に逢う。
自分たちと同じで城主に拷問され続ける男子に。
三人は幼馴染のように数年の刻を過ごした。
三人でいるときだけは、妹は笑えるようにまでなっていた。
だが、幸せも永くは続かない。
三人がいつものように一緒にいるところに城主が来てしまった。
城主は怒り狂った。
自分には見せなくなった笑顔を振りまく娘。
自分の聡明で美しい娘が男子に取られるのではないかという不安からくる怒り。
城主は男子を蹴る。殴る。
娘たちの必死の懇願も聞かずに城主は男子を蹴り続ける。殴り続ける。
このままでは死んでしまう…!
そう思った娘たちは傍にあった刀を掴んだ。
そのまま娘たちはーーー……
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bkm