三月ウサギ 8


『……あの、』
「「なぁに?/なんですか?」」
『……………………』


コトネちゃんも一緒に旅をするって決まってから二人が恐い。
なんか張り合ってるみたいな感じでわたしの言葉にハモらせてにっこり返事をする。
あれ?二人って仲良しなんじゃなかったけ?
あ…またわたし昔のこと考えてる……

頭を振ってそんな考えを振り払う。
そんなわたしを見てヒビキくんとコトネちゃんは頭を傾げていた。
わたしはそれを知らない振りしてわたしが今疑問に思ってることを口に出す。


『あ、あの、わたしと手を繋がなくてもいいんじゃないですか…?』
「「だーめっ。/駄目です。」」


今のわたしは二人の間に挟まれて、さらに手を繋がれてる。
わたし別にどこにもいかないんだけどな。
それに人とすれ違う度にジロジロと見られて正直恥ずかしい。


『あ、もうそろそろキキョウシティに着くね。』


ふと、前を見るとあるのは【キキョウシティ】と書かれた看板。
それを見るとわたしの胸がドキドキと動いていた。

やっぱり、楽しみなのかな?
前世の頃から見ていたポケモン。


『は、早く行こっ?』
「そうですね。」
「ナマエちゃん可愛い!!早く行くってことね!」


コトネちゃんの言葉に首を傾げつつも初めて行く場所にわたしの心はワクワクしていた。

前から大好きだったこの世界。
不本意だけどここに来てしまった。

あの人を赦すことは絶対に出来ない。
でも、でも、
あの人が来るまでは楽しんでもいいよね?
誰も巻き込まないから。
わたし一人でやるから。

だから、それまではこの気持ちを大切にしたい。


レッドとグリーンのことを忘れてわたしはただ目先の楽しみにとらわれた。
レッドとグリーンがどうなってるかも知らないで。


「おい、レッド。行くぞ。」
「…ん。協会は?」
「ああ。了解は貰った。」
「……わかった。」


結局、わたしは二人のためとか言って自分のことしか考えてなかったんだ。


「「まずはジョウト地方だ。」」


ごめんなさい、ごめんなさい。
わたしが勝手で迷惑かけて、
でも、わたしは大好きなんだよ。


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bkm
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