黄金に手を伸ばす 14



「何故、私から逃げる。何故、私を愛さない。」


目がイってるメンフィスに馬乗りされること、数十分。

貞操の危機じゃ。

あ。言っとくけど、私はメンフィス愛してるよ。弟としてだけど。嫌いじゃない。問題は、メンフィスが私をラブで好きなことだと思う。


『…メンフィス。どきなさい。』
「何故何故何故何故何故だ!!こんなにも愛しているのに!」
『あのさぁ、メンフィスが愛してるのは、“姉”であるアイリスでしょ?私じゃないし。』
「あぁ…、そうか。愛が足りぬのか。」


ちょ。曲解。
私の話をすこしは聞いてくださいお願いします。


「愛してる、名前。」


逃げろ、私。





『キャロル。』
「名前!」


メンフィスに貞操を奪われないように必死に戦って満身創痍な私。

もう、メンフィス恐い。
だって噛み付いても、その噛み付いた場所を愛しそうに見るんだよ?馬鹿なの?どえむなの?

とりあえず、宴会の席にいたキャロルに抱き付いた。
なんか、アイシスが近くにいたけどスルーで。


『あ。落ち着く。』
「名前、大丈夫なの?無事だった?」
『なんとか。』


真顔でVサインをおくる。


『キャロルはどうしたの?』
「あ、わたしね、アイシスと一緒だったの!」
『…….え。』


なぜに。
その人、キャロルのこと殺そうとしてましたけど。

私がポカンと口を開いて見ていれば、キャロルの後ろに美人さんの影。
美人だけど。美人だけれども。
微笑んでるのに、その瞳がなんか、こう。純粋じゃないんだよね。


「ねぇ、キャロル。わたくしにも、紹介してくださらない?」
「あ、うん!」


…まさかの、キャロルは今のアイシス=私たちを連れてきたアイシスって繋がってない?
うっそーん…


「わたしの双子の姉の名前っていうの!名前、こっちはアイシス。…あのね、この時代のアイシスはわたしたちのことしらなみたい。」
『……わーお』


キャロルがばっちり勘違いしてることがわかった。
ボソボソと私の耳元でそう話したキャロルに頭を抱えたくなる衝動にかられる。
どうしよーかなー。


「わたくしとも、深く仲良くしてくださると嬉しいわ、名前」


そして、アイリスに妖しげな色っぽい目を向けられた私はどうすればいいだろう。

やめて、そんな目で見ないで。
私はノーマルなんだ。

そう思いながら、私は死んだ目で騙されきってる我が妹が心配になった。

この子、詐欺にあいそう。


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bkm
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