金盞花に哭く 20


確信を持っているような浦原さん。
きっと、もう浦原さんは気付いてる。


『一つ、間違ってます。』
「何がスか、」
『わたしは、霊圧を消してるつもりありません。』


そう。わたしは霊圧を消してない。

ただ、包まれてるだけ。


「じゃあ、なんで、」
『教えてあげます。』


腕に手をズブリとさして、春夏秋冬を取り出す。
瞬間、わたしの身体から霊圧が放出される。


「なっ!」
『わたしがこの斬魄刀の鞘であるように、この斬魄刀はわたしの鞘なんです。』


わたしの霊圧は春夏秋冬によって包まれてる。
だから、どれだけ死神たちがわたしの霊圧を探ろうと、わたしの霊圧は見つからない。

鞘に包まれているのだから。


『あともう一つ。春は曙、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて。知ってます?』
「……?」
『今の時間帯は、歌夕の能力が最も引き出される時間帯なんです。』


歌夕の持っている、もう一つの能力。

“記憶の操作”

朱く染まる今の時間帯なら、浦原さんの記憶からわたしの記憶だけを抜き取るのは簡単。


『浦原さん、ごめんなさい。』
「ーーっ!」

卍解 【秋條歌夕】


どうかわたしのことは来たるその時まで忘れてください。

浦原さんはこの物語の大切な鍵。

まだ、わたしのことに気付いちゃいけない。

だって、わたしは異物なんだから。

紅葉が浦原さんを包む。
わたしのエゴのために、今からわたしは貴方の記憶からわたしを消すのです。

どうか、どうか、わたしを許さないで。

卑怯で矮小なわたしを。
有沢名前の中にある、雛森名前という人物を。


「これで、本当によろしかったんですの?」
『歌夕…』
「わたくしは、名前様のいうことを否定するつもりはないですわ。ですが、名前様は…」
『いいの。』
「名前様…」
『これで、いいんだよ…』


地面に倒れてる浦原さんをベンチに横にしてから、私は自分の家に帰った。

自分の瞳から涙が流れていたのは、気付かないフリをした。


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bkm
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