人形劇 19


次に会ったのは、ハンター試験会場で。
名前はヒソカと会場に来てた。

名前はすぐに俺に気付いてくれて、ヒソカを置いて俺のところにきた。それが少しだけ嬉しかった。

ゴンは俺の大切な親友で、俺の気持ちにすぐに気付いた。今思うと、ゴンの勘ってほんとすげー。

とにかく俺は名前が好きで、名前とずっと一緒にいたいって思ってる。


だから、仁王とかいうやつが、気に入らない。


俺らがいないときに、名前と一緒にいたんだなーとか思うとムカつく。名前があいつに心開いてるって考えると、すっげー嫌だ。
だって、名前は俺らだけにしか心開かないと思ってたから。


「なぁ、なんで仁王は名前といんの?」
「なんでお前に話さなくちゃならん。」


やっぱり、ムカつく。


「当たり前だろ?名前は俺らのなんだから。」
「俺は名前ちゃんのもんじゃ。」
「…ふーん。」


そう言ったあいつの目は歪んでる。

でも、それは俺らも同じで。

こっちの世界に来るために、たくさんの人間を殺した。それが、対価だったから。
異世界を渡るにはそれなりの対価が必要で、みんなそれを払ってきてる。

名前に逢うために。

名前も狂ってるけど、俺らも狂ってる。
んで、仁王も狂ってる。

……なんだ。俺たち同じじゃん。


「なぁ、下の名前ってなんだっけ?」
「?雅治じゃけど…」
「雅治、な。俺のこともキルアでいいぜ。」
「……おん。」

『あー!キルアとはるちゃん、仲良くなってる!』


そんな声が突然聞こえて名前を見る。

その顔は驚くような声に反して、すごく嬉しそうだった。


「ばっ!仲良くなんてねぇよ!」
『キルアはツンツンデレーだもんね!わかる!』
「わかってねぇ!」
『だいじょーぶ!』


にこーっと笑う。楽しそうに幸せそうに。

あぁ、俺はずっとこの笑顔が見たかったんだ。
いつもの笑顔に。幸せそうな笑顔に。
不幸も纏めて幸せに変えちまう、そんな笑顔に。


「なぁ、名前。こっちに一人で、淋しかったか?」
『?うーん…最初はさみしかったけど、今はさみしくないよ!それに仁王ちゃんもいてくれたし!あ、今はキルアたちもいるもんね!』
「そっか…だよな。」


俺がいない間に、名前を支えてくれたのは、仁王のおかげでもあったのかも。
それはちょっと妬けるけど、名前がさみしくなかったんなら、それでいい。


『キルアー?』
「うし!雅治も明日からよろしくな!」
「?なにをじゃ?」

「は?聞いてねぇの?俺とゴン、明日から立海に通うんだぜ?」


そう言ったときの、雅治と名前の顔は面白かった。


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