リンゴとハチミツ 11


「あ、あれ?」


すると、拓也くんがなにかを発見したらしい。


「藤井くん。」
「ん?」


お友達だったらしい。

あ、なんか安心した。
拓也くん、ヒロちゃんのお兄さん以外にもお友達いたんだ…!よかった、本当にお姉さんは安心です!
身体的には幼女だけど、気持ち的には拓也くんと実くんのお姉さん状態なんで。


「あ…?榎木!?げっ、すっげー偶然だな。」
「あ、もしかして妹?」
「弟だよ。」


……拓也くんって、天然だよね。
チラリと見えた藤井くんとやらの、おいおい、みたいは目が印象的でした。

そしてやっぱり藤井くんとやらの弟さんは私からは見えないとゆー。





そんなこんなで、お賽銭箱のあるところ。
ここまでの道のりは大変でした。
人に揉まれたり人に揉まれたり人に揉まれたり。
人混み恐怖症になりそう。

お賽銭箱の前で二礼二拍手一礼。基本だよね。

で、お願いごと。

チラリと横目で、拓也くんたちを見る。
三人はどんなお願いごとしてるんだろう。


とりあえず、私のお願いごとは、


『(こんな日がいつまでも続きますよーに。)』


生まれ変わって、大切な人と永遠の別れをした。
それはすごくさみしくて、すごく辛くて。

お父さんやお母さんにも、今までありがとうだなんて言えなかった。
友達にも、なんにも言えないで別れた。

でも、おばあちゃんがいて、おじいちゃんがいて、由加子さんがいて、実くんがいて、拓也くんがいて、春美さんがいて、一加ちゃんやヒロちゃん、マサくんがいて。

両親はいないけど、私はすごく今が幸せだっていえるから。

私を幸せにしてくれるのは、みんな。

だから、私もみんなを幸せにしたいと思う。

実くんが泣いてたら、泣き止むまで一緒にいてあげたい。
拓也くんが辛いときは、私も一緒にその辛さを背負いたい。
一加ちゃんが楽しいときは、私もその気持ちを共有したい。
みんなと、一緒に幸せになりたい。

生まれ変わって後悔ばかりだったときがあった。

けど、今はこんなにも幸せ。


そのあとに引いたおみくじで、“前途多難”って出たことはスルーすることにする。

だって、幸せだから。

いや、でも、前途多難って…
榎木家になりかかってる時点で、いろいろと前途多難な気がするけど。

いや、拓也くんたちは大好きだけど、なんか違うっていうか…

とりあえずは今年一年、無事に過ごせますよーに!


prev next

bkm
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -