『頭、痛いなぁ、』
ズキズキと頭に痛みが響く。
でも、今日は学校に行かなくちゃ。
竜貴ちゃんたちに心配かけちゃうから。
「あ!名前ちゃん聞いてー!」
学校に着いて、教室を開けると同時に織姫ちゃんに抱き着かれる。
『織姫ちゃん、おはよう。』
「あ、おはよう!あのね!昨日部屋に横綱が来て、テッポウで壁に穴あけたの!」
チラリ、竜貴ちゃんを見る。
竜貴ちゃんは、わたしに否定されると思ったのか、目を逸らした。
それにチクリと胸が痛むけど、にっこりと微笑む。
『そうなの?大変だったね。』
「え、名前、信じるの?」
『え?うん。』
「あたしはそーゆー可愛らしい名前が好きよ!あたしと新しい扉開かない?」
『えっと…』
「千鶴!あたしの名前を口説かない!」
ギュッと千鶴ちゃんに抱き締められたと思ったら、竜貴ちゃんに千鶴ちゃんから離される。
それから始まった竜貴ちゃんと千鶴ちゃんの言い争い。
わたしを抱き締めた竜貴ちゃんの顔が赤くなってたのを見て、ふにゃりと笑った。
変わらない日常が愛おしくて、幸せで、
それでも、シロくんがここにいることを望んでしまうわたしは、愚かなのかもしれない。
▽
授業も終わってお昼ご飯の時間。
いつも通り、竜貴ちゃんたちと食べようとすると、一護くんに呼び止められる。
『ん?』
「なぁ、屋上で食わねぇか?」
そう言ってから一護くんは、顔を真っ赤にする。
一護くん、可愛いなぁ。
『うん。久しぶりに一緒に食べよ。』
「ルキ…朽木もいるけど、いいか?」
『ふふ、いいよー。』
竜貴ちゃんに、一護くんと一緒に食べるってことを報告すると、わたしは一護くんたちと屋上に向かった。
「よ、よろしくお願いしますわ。」
『えっと、朽木さん、そんなに固くならなくてもいいよ?一護くんといるみたいに、リラックスしてくれればいいから。』
朽木さん、わたしがそう言ったとたん、傷付いたようなルキアちゃん。
ああ、そんなに傷付いたような顔をしないで。
頭の痛みが酷くなってくる。
「……わかった。私のことは、名前で呼んでくれ。私も、名前で呼んでいいだろうか…?」
『もちろん。よろしくね、ルキアちゃん。』
「っ、」
泣きそうな顔をしないで。
わたしなんかのために傷付かないで。
『ルキアちゃん?』
「っ、悪いな。名前があまりにも昔の友人に似てたんだ。」
『……そう。』
わたしは知ってるのに、知らないフリをするんだから。
ごめんなさいごめんなさい。
弱くて、最低で、
それでも、わたしは、
今朝よりも痛くなる頭痛に、頭が割れるようだった。
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bkm