夜、一護くんの霊圧を感じた。
ルキアちゃんが来たんだって、わかった。
だから、わたしは今から出来ることをしなくちゃ。
『竜貴ちゃん、わたし、今日休むね。』
「ん…大丈夫か?」
『頭痛いだけだから、心配しないで。』
にっこりと笑みを浮かべた。
竜貴ちゃんがいなくなった部屋で、そっと目を閉じる。
集中、しなくちゃ。
次に、目を開けると、わたしは幻想的な花たちが咲き誇っている花畑の中に立っていた。
久しぶりの精神世界に、ギュッと拳を握る。
春、夏、秋、冬。
四季を司る、わたしの斬魄刀。
わたしの斬魄刀は能力的には四本に分けられる。
春を司る、春草月華。
夏を司る、夏神奏夜。
秋を司る、秋條歌夕。
冬を司る、冬涙香朝。
卍解状態になると、一つの能力が解放状態になる。
だから、わたしはそれを好きな時に自由に使いこなせなくちゃいけない。
この斬魄刀の能力は、使い方次第で、強くもなるけど、弱くもなる。
「だから、唯一あたしたちを使い分けることが出来る名前を、あたしたちは離さなかった。」
木々がさざめく。
「俺たちは、再び名前の元に集った。」
新緑が舞う。
「それがわたくしたちの意志。」
優しい風が髪を揺らす。
「誰も僕たちの意志を覆すことは出来ない。」
冷たい雪がわたしの頬を撫でた。
「「「「お久しぶりです。我が主。」」」」
片膝を付き、わたしに忠誠を誓う格好をする斬魄刀に、わたしは泣きそうなのを堪えて、必死に笑った。
『…っ、ただいまっ!』
大切な、わたしのパートナー。
▽
「あーん!やっぱり名前の抱き心地さいっっっこうだわ!」
ぎゅーッと思いっきりわたしを抱き締める月華に笑いが零れる。
うーん…
今まで来なかったのに、普通に受け入れてくれたのは嬉しいけど、やっぱり月華は女装してるんだ…
月華:春を司る斬魄刀。女装癖あり。
「お前、男だろ。気持ち悪い。」
わたしを抱き締めていた、月華をべリッと離して、ポツリと「別に、あんたの為じゃないからな。」なんて呟く奏夜。
そう言いながらも、わたしの手を繋ぐ奏夜にクスリと笑みを零す。
奏夜:夏を司る斬魄刀。素直じゃない子。
「あはっ。奏夜って、ホントむっつりだよねぇ?気持ちわるーい。」
ニコニコと笑みを零しながら、わたしと手を繋いでいる奏夜の手をつねる香朝。
その笑みに末恐ろしいものを感じる。
香朝:冬を司る斬魄刀。美少年。
「なによ!あたしの名前補給を邪魔しないでちょうだあい!」
「うるさい。変態。香朝、俺はむっつりじゃないからな。」
「むっつりも変態もきっもちわるぅー。」
「「なんだと?」」
「だぁかぁらぁ、気・持・ち・悪・い・の!」
喧嘩をし始めた三人をオロオロとしながら、どうしようと泣きそうになる。
すると、わたしの横に立った歌夕がにっこりとわたしに向かって微笑む。
「貴方達?名前様が引いていらっしゃるでしょう?さっさと黙りなさい。」
「「「ごめんなさい。」」」
わたしの斬魄刀の中で、一番しっかりしてるのは、歌夕だったりするのです。
歌夕:秋を司る斬魄刀。彼らをまとめるお姉さん。
「で、名前様。この度は、どうしたのですか?」
『あの、わたし…』
歌夕がわたしににっこりと微笑んで問う。
わたしは、言ってもいいのかな。今まで、わたしは斬魄刀から逃げてた。
自分の身体の中に、この斬魄刀があるって気付いても、わたしは逃げてた。
怖かったから。怖かったの。
「名前、あたしたちは、あんたの斬魄刀。」
「お前の気持ちは全て気付いてる。」
「僕たちに、名前の望みを。」
あぁ。わたしは、忘れてた。
斬魄刀は、わたしの、死神の唯一無二のパートナーだって。
裏切られるはずがない。裏切るはずがない。
わたしと春夏秋冬は、パートナーなのだから。
『お願い…、わたしと一緒に戦って…』
「「「「お任せください、我が主。」」」」
わたしは、異物。
だけど、パートナーがいるから、わたしはもっと頑張れる。
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bkm