黄金に手を伸ばす 11


「いや!助けて!いやーっ!」
『キャロル!』


私たちが別れて走ると、メンフィスはキャロルを追いかけた。

そして、すぐに捕まってしまったキャロル。

それに気を取られていると、メンフィスを追ってきた兵士に頭を殴られた。


『ぐ…っ、』

ふざけんな。
打ちどころが悪かったどうするんじゃぼけぇ。

そう思いながら、私の意識は深い闇に沈んだ。


「ナマエ!!」


薄れてく意識の中で、最後に聞こえたのは、キャロルの泣きそうな声だった。




メンフィスSide

捕まえた。捕まえた。
金の瞳を持つ女。
アイリスを思い出させるその金の瞳。

もう私のモノだ。
私が奪った。

ナイルに奪われたアイリスを取り戻すことは叶わなかった。
だが、手に入れた。
彼女の瞳を持つ女を。

離すものか。
この手から零れ落ちたものは手に入らない。
だが、代用品を手に入れた。


「早く、その瞳に私を写せ…」


蒼い瞳を持った女は、金の瞳を持った女のいい人質になるだろう。
もちろん、この女たちを救おうとして、宮殿に忍び込んだ少年も。

もう失わない。
もう離さない。

金を携えた女は私のもの。


「メンフィス…」
「なんですか、姉上。」
「この子をわたくしに譲って。」
「いや、姉上。この瞳は私のもの。アイリスは私のものです。私の、花嫁だ。」


過去に愛した彼女は戻ってこなかった。

ならば、彼女と同じ瞳を私は愛そう。


アイシスSide


ソフィアを連れて、戻ってきたのはいいが、余計なおまけまでついてきてしまった。
そのせいかはわからぬが、ソフィアとキャロルは途中で何処かに落ちてしまったし…

まさか、奴隷としているとは。

さらに、メンフィスはソフィアにアイリスの面影を写してしまった。
これでは、ソフィアと契ることができぬ。

わたくしは、ソフィア自体が好きになった。
アイリスの面影を持つソフィアでなく、ただのソフィア・リードを。

だから、ここまで連れてきたというのに…


でも、それもいいかも知れぬ。
どこかアイリスを思い出させる彼女と、メンフィスが婚儀を行い、わたくしがメンフィスの第二王妃として君臨すれば、わたくしはソフィアと契ることができる。

おお…!なんと素敵なのでしょう。

わたくしは、ソフィアと契る。
大切にしてあげるわ。わたくしの愛しい子。


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bkm
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