危なかった。
本気の本気で危なかった。
今度会ったらジ・エンドだと思う。
だって、メンフィスってば、私の名前呟いてたし。
背筋がゾワッて逆立ったのは、勘違いじゃない気がする。
「あれ?外が騒がしいわ。どうしたのかしら?」
キャロルの言葉に、外の様子を見る。
兵士たちがいっぱいだった。
嫌な予感しかしない。
「ナマエ、キャロル!たいへんだ!兵士たちがきみたちを探している。隠れるんだ!」
「えーっ!」『えー…』
私の嫌な予感って当たるんだよね。
ナマエちゃん、涙目だよ。嘘だけど。
キャロルと視線を合わせてコクリと頷く。
きっと、考えてることは一緒だから。
セフォラの頬に感謝の口付けをする。
ちょっと自分の思考がだんだんと外国人っぽくなってて、なんか悲しくなったのは秘密である。
……私って、元日本人なんだよ。
「今までありがとう、セフォラ、セチ。」
『二人のおかげで、私たち安全だったよ。本当、ありがとう。』
「いったい、どこへいくの…?」
「『安全なところに。』」
二人には初めての笑顔を見せると、私は不適に微笑んだ。
▽
ひそひそと逃げてたら途中でなんか追っ手がきた。
キャロルを殺して、私を連れ去ろうとしやがった。
恐ろしいわ。しかも、アイシスのご命令だと思われ。だって、追っ手がアイシス付きの侍女だったもん。恐ろしいわ(大事なことなので二回言いました)
まあ、その追っ手をセチが引き止めてくれて安心。私たちはナイルに向かって走っていた。
『キャロル、早くナイルに!』
「うん!……あ!」
「待て…娘ら、どこへいく」
ら、周りに兵士がたくさん☆
しかも、メンフィスさんがいらっしゃる。
……スルーするのはありですか。
とりあえず目を瞑って、キャロルに引っ付く。
「と、隣り村まで、用たしに参ります…」
頭を下げ、できるだけ顔を見せないようにして、そこからそっと離れようとする。
「おっと待てい!顔を見せろ!」
ジ・エンド。
私とキャロルは目を合わせて、コクリと頷くと同時に走る。
逃げるが勝ちってことわざ素晴らしいや。
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bkm