桃井Side
あの女をどうやって追い出すか。
残念なことに、あの女は女子から好かれてる。
「けどね、女の子の友情なんて、儚いものなんだよ。」
レギュラーのみんなの前で、口の端をあげながら笑みを作った。
その点、名前ちゃんと私は一生の友情と愛だもんね。ずっと一緒!
名前ちゃん、だあいすき!
だから、名前ちゃんのためにも、さっさとあの女を追い出してあげるね?
ぜーったい、名前ちゃんを辞めさせたりさせないんだから!
▽
「……ん?シャツがないな…」
ポツリ、赤司くんが呟く。
私と赤司くんとあの女は同じクラス。
あーあー、一年生の時に戻りたいなぁ。
名前ちゃんと一緒がいい。
赤司くんの言葉に、赤司くんファンの数人の女の子が反応する。
ああ、気持ち悪い。あのだらけきった笑み!下心満載なのが伺える。
「え、赤司くんのシャツがなくなったのぉ?」
「…あぁ。部活のときはあったはずなんだが…」
「え!それって、盗まれたんじゃなぁい?」
赤司くんのことが好きな女の子がそう言って、私を見る。
私のこと怪しんでるのかな?
それならありえないのにね。
「…確か、最後に部室から出たのは廣瀬だったな…」
「……えっ!」
驚いたように声を出す廣瀬さん。
それに笑いたい気持ちをグッと我慢して、困ったような顔を作る。
「そういえば…昨日名前ちゃんから鍵奪ってたよね…?」
ポツリ、そう呟けば、みんなハッとした顔を作る。それから、一斉に廣瀬さんを睨んだ。
みんな、わかりやすいなあ。さっきまで、廣瀬さんと友達だったみんなも廣瀬さんを睨んでる。
「…廣瀬、悪いがカバンの中を見せてもらえるか?」
「そんな…!赤司くんはわたしのこと疑ってるの…?」
「いや、桃井にも見せてもらうさ。桃井。」
「あ、うん。」
ワザとらしい演技に吐き気を覚えていると、突然振られた赤司くんのセリフにハッとなって、自分のカバンを赤司くんに見せる。
「ない、か…」
「ねぇ、夢ぇ。赤司くん困ってるんだから、カバン出しなよお?」
「……わかった」
廣瀬さんが、カバンを見せた。
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bkm