識って、しまいました。
私は必要のない存在だったのです。
▽
次に目が覚めた時、私は現世に生まれていた。
その現世では、死神なんていなくて、みんな危機感なんてなく過ごしていた。
それを見て、発狂しそうになったのを覚えてる。
今までの、雛森名前はなんだったんだろう。
あの、シロくんを思って流した涙も、シロくんを好きだった気持ちも嘘だったのかな。
乱菊ちゃんと友達になれて嬉しかったあの気持ちも、乱菊ちゃんとたくさん話したことも?
……桃ちゃんを憎んでしまった気持ちも?
また生まれてきて十五年後。
私はある本を手にする。
そこで私は絶望して、嘆いて、
そして、
ドスンッ!
身体にすごい衝撃がくる。
頭を打ったのかな。
頭が熱くて、身体が動かないや。
甲高い叫び声がする。
知らない、人の声。
当たり前かもしれない。
だって、私はすべて拒絶したんだから。
死んだら、またみんなに逢えるのかな。
乱菊ちゃんに逢いたいな。
桃ちゃんにも逢いたい。
あ、市丸隊長にも逢いたいや。
でも、一番は、
『し、ろ…く、』
シロくんに逢いたい。
逢いたい、逢いたいよ、シロくん。
真っ暗な視界の中、私はただただシロくんのことを考えて、涙を零した。
きっと、私はまた死ぬんだろうな。
それなら、また尸魂界に帰りたいよ。
シロくんに逢いたいの。
あの本には、みんなのことが描かれてあった。
私に優しかった愛染隊長はみんなを裏切って、市丸隊長なんて、自分を犠牲にして、愛染隊長を殺そうとして、逆に殺されてしまっていた。東仙隊長だって、優しかったのに。
乱菊ちゃんが泣いてた。
桃ちゃんも泣いてた。
シロくんは、桃ちゃんのために怒ってた。
でも、その中に“私”はいなかった。
もともと、私はいらなかったんだよ。
ごめんね。シロくん。
好きになっちゃって、ごめんね。
でも、
好きでいることは許してください。
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bkm