金盞花に哭く 11


識って、しまいました。
私は必要のない存在だったのです。





次に目が覚めた時、私は現世に生まれていた。
その現世では、死神なんていなくて、みんな危機感なんてなく過ごしていた。

それを見て、発狂しそうになったのを覚えてる。

今までの、雛森名前はなんだったんだろう。
あの、シロくんを思って流した涙も、シロくんを好きだった気持ちも嘘だったのかな。
乱菊ちゃんと友達になれて嬉しかったあの気持ちも、乱菊ちゃんとたくさん話したことも?
……桃ちゃんを憎んでしまった気持ちも?

また生まれてきて十五年後。
私はある本を手にする。

そこで私は絶望して、嘆いて、

そして、

ドスンッ!
身体にすごい衝撃がくる。

頭を打ったのかな。
頭が熱くて、身体が動かないや。

甲高い叫び声がする。
知らない、人の声。

当たり前かもしれない。
だって、私はすべて拒絶したんだから。

死んだら、またみんなに逢えるのかな。

乱菊ちゃんに逢いたいな。
桃ちゃんにも逢いたい。
あ、市丸隊長にも逢いたいや。
でも、一番は、


『し、ろ…く、』


シロくんに逢いたい。

逢いたい、逢いたいよ、シロくん。

真っ暗な視界の中、私はただただシロくんのことを考えて、涙を零した。

きっと、私はまた死ぬんだろうな。
それなら、また尸魂界に帰りたいよ。

シロくんに逢いたいの。



あの本には、みんなのことが描かれてあった。

私に優しかった愛染隊長はみんなを裏切って、市丸隊長なんて、自分を犠牲にして、愛染隊長を殺そうとして、逆に殺されてしまっていた。東仙隊長だって、優しかったのに。

乱菊ちゃんが泣いてた。
桃ちゃんも泣いてた。
シロくんは、桃ちゃんのために怒ってた。

でも、その中に“私”はいなかった。

もともと、私はいらなかったんだよ。

ごめんね。シロくん。
好きになっちゃって、ごめんね。

でも、

好きでいることは許してください。


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