黄金に手を伸ばす 7


名前ちゃん、混乱中。

なんか、目が覚めたら、は?
いやいやいやいや。

ここ、どこ。

ぽかーんと大口を開けて、私にしては珍しく表情を顔に出す。

やばい。私、こんな家見たことある。

……アイリスの頃に。


「ナマエ!目が覚めたのね!」
『キャロル…?』
「どうしよう!!わたしたち、古代エジプトに来ちゃったのよ!!」
『……は?』


もう、なにがなんだかわからなーい。





心優しいセフォラに言われた通り、上の布を深く被って、顔と手足を汚した格好で、私in工事場。

やだ、いまだに現状把握ができてないんだけど。

とりあえず、覚えてることを一から順に思い出す。

えーっと、キャロルがコブラに噛まれて無事で、元気になったところまではいい。
キャロルが、アイシスとライアン兄さんをくっつけようとしてたのには笑った。
シスコンブラコン同士いいんじゃない?なんて思ったのは秘密である。

まあ、そんなこんなで、王家の墓展なんていうものが始まって、アイシスも私もお手伝いとして、主賓の招待なんてした。
やだ、私ってば勤労少女じゃん。えらっ。

あ、そっから思い出せない。

なんか、ジュースを飲んだのは覚えてるんだけど…

……あれか。
あのジュース、酒か。
私って、酒を飲むと意識失うんだよね。
前に飲んだら、ライアン兄さんにめっちゃ怒られたっけ。

とゆーことは、飲んだあと、アイシスにここに連れて来られたってこと?

あー…来賓の人に勧められたからって、酒なんて飲むんじゃなかった。


『はぁ…』
「ナマエ…じゃなくて、ソフィア、大丈夫?」
『キャロル…大丈夫だよ。あと、ここなら、ナマエで呼んでもいいから。』


私の言葉に花が咲いたように笑うキャロルに癒される。

本当、癒されるわー。
あの兄弟の中で、こんな可愛い妹いたら溺愛するよね。溺愛。


『キャロル大好き。』
「?わたしもナマエのこと大好きよ!」


なんか、頑張ろうって思った。


キャロルSide

わたしには、大好きな人がいる。
家族はみーんな大好きだけど、その中でも一番好きなのはナマエ。

本当の名前はソフィア。ソフィア・リード。
私の大切な双子の姉。

ナマエはナマエが小さい頃に、わたしにだけ教えてくれた特別な名前。

わたしにその名前を教えてくれた時、ナマエはすごく泣きそうな顔をしていたのを覚えてる。
ナマエはあんまり笑わないし、泣かない。
だから、その時ナマエが泣きそうになってたのを見て、わたしは、わたしだけは、ナマエのことをナマエって呼ぼうって決めたの。

ナマエ、って呼ぶとナマエはたまに微笑んでくれる。
あんまり表情の変わることのないナマエの微笑みは、わたしにとって、すごく貴重なもので、わたしはナマエの微笑んだ顔が大好き。

世界で一番好き!
ずっとずっと一緒にいたい。そんなことを思うくらい、わたしはナマエが大好きなの。

わたしがコブラに噛まれた時に、ナマエはわたしを助けてくれた。
だから、今度はわたしが助ける番。

ナマエがアイシスに連れ去られそうになったとき、無理矢理引っ付いてきたのはわたし。
目が覚めたら、古代エジプトにいたことには驚いたけど、わたしはナマエが無事だったなら、それでいい。

だって、わたしはナマエが大好きなんだから。


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