名前ちゃん、混乱中。
なんか、目が覚めたら、は?
いやいやいやいや。
ここ、どこ。
ぽかーんと大口を開けて、私にしては珍しく表情を顔に出す。
やばい。私、こんな家見たことある。
……アイリスの頃に。
「ナマエ!目が覚めたのね!」
『キャロル…?』
「どうしよう!!わたしたち、古代エジプトに来ちゃったのよ!!」
『……は?』
もう、なにがなんだかわからなーい。
▽
心優しいセフォラに言われた通り、上の布を深く被って、顔と手足を汚した格好で、私in工事場。
やだ、いまだに現状把握ができてないんだけど。
とりあえず、覚えてることを一から順に思い出す。
えーっと、キャロルがコブラに噛まれて無事で、元気になったところまではいい。
キャロルが、アイシスとライアン兄さんをくっつけようとしてたのには笑った。
シスコンブラコン同士いいんじゃない?なんて思ったのは秘密である。
まあ、そんなこんなで、王家の墓展なんていうものが始まって、アイシスも私もお手伝いとして、主賓の招待なんてした。
やだ、私ってば勤労少女じゃん。えらっ。
あ、そっから思い出せない。
なんか、ジュースを飲んだのは覚えてるんだけど…
……あれか。
あのジュース、酒か。
私って、酒を飲むと意識失うんだよね。
前に飲んだら、ライアン兄さんにめっちゃ怒られたっけ。
とゆーことは、飲んだあと、アイシスにここに連れて来られたってこと?
あー…来賓の人に勧められたからって、酒なんて飲むんじゃなかった。
『はぁ…』
「ナマエ…じゃなくて、ソフィア、大丈夫?」
『キャロル…大丈夫だよ。あと、ここなら、ナマエで呼んでもいいから。』
私の言葉に花が咲いたように笑うキャロルに癒される。
本当、癒されるわー。
あの兄弟の中で、こんな可愛い妹いたら溺愛するよね。溺愛。
『キャロル大好き。』
「?わたしもナマエのこと大好きよ!」
なんか、頑張ろうって思った。
キャロルSide
わたしには、大好きな人がいる。
家族はみーんな大好きだけど、その中でも一番好きなのはナマエ。
本当の名前はソフィア。ソフィア・リード。
私の大切な双子の姉。
ナマエはナマエが小さい頃に、わたしにだけ教えてくれた特別な名前。
わたしにその名前を教えてくれた時、ナマエはすごく泣きそうな顔をしていたのを覚えてる。
ナマエはあんまり笑わないし、泣かない。
だから、その時ナマエが泣きそうになってたのを見て、わたしは、わたしだけは、ナマエのことをナマエって呼ぼうって決めたの。
ナマエ、って呼ぶとナマエはたまに微笑んでくれる。
あんまり表情の変わることのないナマエの微笑みは、わたしにとって、すごく貴重なもので、わたしはナマエの微笑んだ顔が大好き。
世界で一番好き!
ずっとずっと一緒にいたい。そんなことを思うくらい、わたしはナマエが大好きなの。
わたしがコブラに噛まれた時に、ナマエはわたしを助けてくれた。
だから、今度はわたしが助ける番。
ナマエがアイシスに連れ去られそうになったとき、無理矢理引っ付いてきたのはわたし。
目が覚めたら、古代エジプトにいたことには驚いたけど、わたしはナマエが無事だったなら、それでいい。
だって、わたしはナマエが大好きなんだから。
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bkm