ガンッ
そんな音がして、私とゾンビが入っていたオリが壊される。
上を見上げると、ネメシスさんが大きな武器を持って、私を起き上げてくれた。
『あり、がとう…?』
私のお礼の言葉にネメシスさんは、お肉に包まれた小さな瞳の中に私を写す。
あ、目が合った…、
そう思った瞬間、ネメシスさんは微笑んだ気がした。
でも、それも一瞬のことで、ネメシスさんはすぐに、ビルの周りを飛んでいたヘリコプターに目を向ける。
気が付けば、私を襲っていたゾンビたちは、オリの中から消えて、アンブレラ社の人を襲っていた。
?ネメシスさんには、ゾンビを操る力があるのかなぁ?
「名前!」
『アリス、お姉さ、ん、』
「あぁ…、身体がベトベト…、」
『大丈夫だよ。それより、アリスお姉さんは大丈夫?傷痛いよね…、』
ネメシスさんの背中を見ていると、アリスお姉さんが私を抱き締める。
アリスお姉さんの身体は傷だらけで、すごく痛そうだった。
私の言葉に、アリスお姉さんは綺麗な顔を歪ませる。
「ごめん、ごめんなさいね…!」
『?なんで、アリスお姉さんが謝るの、?』
私を抱き締めるアリスお姉さんが、何故か私に謝る。
なんでだろ?アリスお姉さんは悪くないのに…
強く、強く、身体が震えているアリスお姉さんが私を抱き締める。
その姿が泣いてるみたいで、私はアリスお姉さんの頭を撫でた。
「っ、今度こそ、守るわ…、」
ポツリ、アリスお姉さんが呟いた決意の言葉は私には聞こえなかった。
「名前!無事か?!どこも怪我はないのか?!」
『マットお兄さん!』
アリスお姉さんがネメシスさんと一緒にヘリコプターを壊している間に、マットお兄さんが私の身体を抱き上げる。
それから、私の身体に傷がないかを確認すると、そっと私の身体を地面におろした。
「よかった…、本当に、よかった…、」
『…よくない!』
突然の私の声に、マットお兄さんが驚いたように私を見る。
私だけ、傷がないのはよくない。
マットお兄さんたちは怪我をしてるのに、私だけ怪我がないのがいい、なんてそんなことないもん!
『マットお兄さんも、アリスお姉さんも、みんなみんな傷があるのに、私だけ傷がないことが、いいことなんて、そんなのおかしいよ!私は、みんなが怪我してたら、よくないの!』
「っ、あぁ。名前の言う通り、だな。」
そう言って、マットお兄さんは微笑んだ。
マットお兄さんと手を繋ぐと、ジルお姉さんたちがいるヘリコプターの方へ急ぐ。
すでに、ビルの屋上はアンブレラ社が攻撃してきたせいでボロボロだった。
それでも、攻撃が私たちや、脱出用のヘリコプターにに当たらないのは、ネメシスさんとアリスお姉さんが守ってくれてるから。
『アンジーちゃ、ん…?』
ヘリコプターの近くまで来ると、暗い雰囲気のアンジーちゃんが男の人の前にいた。
マットお兄さんと繋いでた手を解いて、アンジーちゃんに近付く。
「名前…!」
『アンジーちゃ、』
「ふっ、うぅ…えぇぇえん…、!」
私に気付いたアンジーちゃんが、我慢できなくなったかのように、私にしがみついて泣く。
「パパ…、パパ…!」
そう言って泣くアンジーちゃんに、私はさっき倒れていたアンジーちゃんに似た男の人はアンジーちゃんのパパだって気付いた。
「うわぁぁんん!!」
『っ、』
アンジーちゃんの泣き声に、私もポタリと一つ涙を零した。
アンジーちゃんと私の手は強く結ばれたまま、マットお兄さんとカルロスお兄さんに抱き上げられて、私とアンジーちゃんはヘリコプターの中に入った。
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bkm