時空の死神さん 5


向かってきた赤い物体を、私を守るように影が防御する。

影が放り投げた自動販売機が道路に落ち、砂埃が立つ。

私が無事だったのを、影は確認すると、また私の影に戻っていった。

砂埃が収まり、視界が晴れる。
すると、目の前には目を丸くした金髪サングラス。


『もー!ダメじゃないですの!私じゃなかったら死んでましたわ!』
「あんた、」
『幽くんはめったなことじゃ、怒りませんのに!』


そう言うと、また青筋を浮かべる彼。

それに不思議に思って首を傾げると、胸倉を掴まれ浮かされた。


「てめェ…!」
『……私に、こんなことしていいと思ってるんですの?』
「……あ”?」
『最強の名前ちゃんに、こんなことするなんて許しませんの。……早く、おろしなさい。』


低く、唸るように声を出す。

ギロリ、私の胸倉を掴む平和島静雄を殺気をこめて睨みつければ、彼はゆっくりと私を離した。


『にゃは!よくできましたわ!』


ニコニコと笑って、平和島静雄の頭を撫でる……のは無理なので、ほっぺたをむにゅむにゅしてあげましたわ!


「あんた、あの看板のやつか…?」
『え?あぁ、もうあんな看板意味ないのですけどね!』


そう言って、平和島静雄が指すのは、化粧品の宣伝の看板。
そこには私が写ってますの!

まあ、もうやめたのですけどね!芸能界!


『とりあえず、ここだと目立つので違うところに行きましょ?幽くんのことで話があるんですの!』


にっこりと笑って、けれど、また青筋を立てる平和島静雄を制すように、私は平和島静雄の手首をギュッと力を込めて掴んだ。

私、 一人の力ですと弱いですけど、影の力もあれば、握力八十はありますのよ?


「っ、」
『貴方が化け物でも、なんでも、最強の私を傷付けるのだけは許しませんわ。』


だって、最強の私が傷付くなんて、世界に反するでしょう?

チルチルとルナルナの口が弧を描いた気がした。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -