車で移動すること何分か。
時間なんてわかんないよう!
やっとどこかのビルに着いた私たちは、一番上の屋上目指して走ってる。
いつもだったら、マットお兄さんに抱っこされて走るけど、今日はアンジーちゃんもいるから、ちゃんと自分で走ってるよ!
だって私、アンジーちゃんよりお姉ちゃんだもん!
『アンジーちゃん、大丈夫?』
「うん。大丈夫だよ。」
『もうちょっとだから、頑張ろうね!』
アリスお姉さんとマットお兄さんが開いてくれた道を、みんなで走る。
屋上に着くと、大きなヘリコプターがあった。
「早くこれに乗って!」
ジルお姉さんの言葉に、みんながヘリコプターに乗る。
すると、中には変なパソコン?的なのと、運転する人。
アリスお姉さんがツカツカと運転する人に詰め寄って「早く飛びなさい!」と、切迫詰まったように叫んだ。
「そんなに急がなくてもいいんじゃないか?」
『んっ、』
なんだか聞き覚えのある声が聞こえ、私の口に何かがあてがわれたと思った瞬間、私の意識は真っ白になった。
マットSide
ぐったりとした名前を、男が抱きかかえる。
「全員、外に出てもらおうか。」
その言葉に俺たちは、黙って従うしかなかった。
名前は俺にとって大切な、宝のような存在だ。
守らなくてはいけない、大切なやつ。
俺が、アンブレラ社に実験体にされそうだったところを、名前が身体をはって、止めてくれたことを俺は知ってる。
だから、名前が命の危機に晒されたら、俺が命をはってでも守ってやらなくちゃいけない。
男は名前を抱きかかえたまま、俺たちを外に連行する。
すると、そこにはアンブレラ社の追跡者ネメシスがいた。
男がアリスとネメシスを向き合わせる。
「アリス、ネメシスと戦うんだ。」
「……いやよ。」
「…あいつらがどうなってもいいのか?」
「貴方には、できない。」
アリスの言葉にバンッと銃声が響く。そして、血の匂いが辺りに漂う。
「パパ!!」
「アシュフォード博士は我々にとって、非常に重要な人物だった。…わかるな?」
「っ、わか、ったわ…、」
パパ、パパ、とアンジーがアシュフォード博士の身体を揺さぶる。
手首が拘束されているせいで、名前を救うことも、アンジーの頭を撫でることもできない。
ギュッと、下唇を噛んだ。
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bkm