世界が一つになるまで 19


声が、近付く。


《ごしゅじーん?》


めーちゃんの言葉にハッとなる。

あ、あれ?ボーッとしてました…

頭をフルフルと振って、足元で首を傾げているめーちゃんを抱き上げる。


『ごめんね。ボーッとしてた。』
《それならいいけど…、でもでも、なんかあったら、ちゃんといってね?》
『わかってる。』


スリスリと私に頭を擦り寄らせてくるめーちゃんに、クスリと笑みを浮かべる。


《?なんで、ごしゅじんわらってるのー?》
『ふふ…、めーちゃんが可愛いからかな。』
《む。ぼくはかっこいいんだよ!》
『あはは、そうだね。めーちゃん、かっこいいよ。』


まだ納得していなそうなめーちゃんの頭を撫でて、途中だった編み物に視線を移す。

ここに来て、やることのなかった私は、前から趣味でもあった編み物をしてる。
今作っているのは、めーちゃんの帽子。
この前は、コースター。
それは私の部屋に飾られてる。


《ごしゅじん、ごしゅじん!》
『なぁに?』
《だれか、このへやにくるよ。》
『……そっか。』


カタリ、編み棒を机に置く。

すると、タイミング良くコンコンと扉が叩かれた音がした。
どうぞ、と声をかけると、星宿が入ってきた。


「名前、」
『……はい。なんですか、?』


星宿が少し恐いと思ってしまう。

私のことを知ってた星宿。
私の知らない記憶を持っていた人。


「愛してる、名前…」
『っ、やめ、て、ください…』
「私を受け入れてくれ。名前が私を受け入れないならば、私はお前を殺してしまう…」


そう言いながら、私に近付く星宿の瞳は狂気に歪んでいて、

ゾッとする。
この人の重たい愛に。

私以外はどうでもいいとでも言いそうな彼に。

この人は、国を治める皇帝。
私なんかじゃなくて、民を思うべきなのです。
実際、原作での彼は民を一番に考える方でした。


『お願いで、すから、私のことは、どうかほっといてください…』
「何故。私は名前を愛してる。……この国よりも。」
『!?』


その言葉は言ってはいけなかった。


「名前が私を受け入れてくれないなら、私はこの国を捨て、一人の男になろう。」
『っ、』
「受け入れるだけ、受け入れるだけでいい。」

私のモノになってくれ。


その言葉に、私は涙を零しながら、彼の抱擁を受け入れた。



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bkm
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