三月ウサギ 6


ヒビキくんと決めたのはまずキキョウシティまでは普通に行ってそこからエンジュシティ、それでコガネシティまで行くって感じになった。
ヒビキくん曰くウソッキーは道を通せんぼしていないらしい。
とりあえずとなりのヨシノシティまでヒビキくんの手を繋いで歩く。
聞きたいことのあったわたしはとなりに歩っているヒビキくんに話しかけた。


『あの、ヒビキくん』
「なんですか?ナマエさん」


ヒビキくんはそう言ってにこにこ笑う。
にこにこにこにこ。


『最近ロケット団がコガネシティを乗っとたりした?』
「?いえ、そんなことあったことないですよ」


え……、?
どういうことなんだろう。
ウソッキーがいないのにコガネシティのラジオ塔事件はないっていうこと…?


「ナマエさん…?」
『ぁっ…ご、ごめんね。ヒビキくん!』


わたしが考え混んでいるとヒビキくんが話しかけていたらしい。
慌てヒビキくんの目を見る。
でも、遅かった。


「ダメですよ、ナマエさん」
『っ、』
「僕に隠し事なんて…」


そう言ってにこにこ笑うヒビキくんは確かに目の奥が笑っていなくて。
それと同時に力が強くなっていく手。


『ぃっ……』
「あぁ、痛いですか?でも、ナマエさんが悪いん「ヒッビキーーー!」で、す…、」


どこからか聞こえたヒビキくんの名前を呼ぶ女の子の声。
それを聞いたヒビキくんは固まったようだった。
そしてだんだんと近づいてきた女の子はヒビキくんのとなりに立つとわたしに向かってにこっと笑った。


「ヒビキが女の子と旅に出たっていうから追いかけてきてみれば、女の子可愛い!私はコトネよ!よろしくってことね!」
『え、ぁ…わ、わたしはナマエです』


コトネちゃんはそう言ってヒビキくんからわたしの手を奪い取るようにがしっと掴むとわたしの手をぶんぶんと振って握手?をした。
わたしも思わずコトネちゃんの迫力に押される。


「ちょ、コトネ。ナマエさんが困ってます」
「え?ナマエちゃん可愛いってことね!私もそう思う!」
『あ、ありがとうございます?』


コトネちゃんはあまりヒビキくんの言葉を聞かない子らしい。
次はわたしを抱きしめてきた。
コトネちゃんより背の小さいわたしは当然コトネちゃんの胸に埋もれる。
は、恥ずかしい。


「(コトネ、離さないと俺怒るよ。)」
「(い や !私もナマエちゃんが気に入ったの。このまま一緒に行く。)」
「はぁ?」
『ぷはぁっ!こ、コトネちゃん苦しいよ』
「あ!ごめんね!つい可愛くて!」


そう言ってにぱっと太陽のように笑うコトネちゃんの方が可愛いと思う。


「あっ!ナマエちゃん!」
『なぁに?』
「私も一緒に行っていい?」
『ぇ、あ、ヒビキくんがいいならいいよ』
「ヒビキには許可とったから大丈夫!じゃぁ、改めてよろしくってことね!」
『よ、よろしくお願いします。』
「んもー!超可愛い!」


コトネちゃんはそう言ってまた私を抱きしめた。

その時に、ヒビキくんがどんな表情をしていたかなんて知りませんでした。


「(俺、そんなこと言ってない。コトネ潰す。俺でさえ、まだナマエさんを抱きしめてないのに。)」


prev next

bkm
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -