着替えて外に出て見ると、アラびっくり仰天!
そこはなんだかパトカーやら車やらが放置プレイで廃れていました。
『なんですとーーっ!』
「おとなしくしてろ。」
『うぃ!』
叫ぶと、マットお兄さんにそう言われたので、敬礼して黙りました。
ちなみに、さっさと隠れる場所を探すからって、私はマットお兄さんに抱っこされてるよ!
手にはしっかりと某ポケットにはいるモンスターゲームのカセット入りゲーム機です。
アリスお姉さんはキョロキョロとなにかを探してるよう。
すると、一つのパトカーを覗くと、なにかいいものがあったのか、マットお兄さんにポイとなにかを渡した。
それを私を抱き上げたまま、器用にキャッチするマットお兄さん。
『拳銃ですとな!』
「持っといた方がいいわ。あいつらがどこから来るのかわからない。」
「悪いな。」
そして無言で街を歩く。
『……アリスお姉さーん、私にはー?』
「貴方は私たちが守るからいいのよ。」
頭を撫でられた。
最近思ったんだけど、私子ども扱いされてるっ!
『あ、そういえばクイーンちゃん。』
【なぁに、名前。】
『私の不思議な能力?ってなに?口からビーム出せるとか?はたまた巨大になれるとか?』
【全然違うわよ!】
クイーンちゃんに突っ込まれてしまった。
でもさ、でもさ、私が巨大になれたらきっと最強なのにっ!
みーんな守れるよ!
自分の巨大化した姿を想像していると、あー…、となんかやる気のない声。
それに顔を上げるとゾンビさん。
『うにっ!』
「チッ、」
「……、」
舌打ちをして片手で拳銃バンバン撃つマットお兄さんと、黙って拳銃をバンバン撃ってゾンビを殺すアリスお姉さん。
そして次々と増えるゾンビ。
私 THE 役立たず!がっでむ!
マットお兄さんが私を自分の後ろに隠すようにして、地面に下ろす。
私は二人の後ろ姿を見ながら、ゾンビを倒す二人を見守る。
二人の後ろ姿を見ていると、なにかが頭に過る。
そーいえば、こんなゾンビをバンバンするゲームあったなぁ…
私、最初の教会的なところで、ビクッとしてやめちゃったけど。見てるのは好きなんだけど、やるのは怖いパターンだよ!
とか、思いながら二人を見ていると、ガバァと何かに押し倒される。
『ふぇぇう?!?!』
「あー…、」
「「名前?!」」
『いやらーーーっ!!!!』
私を押し倒したのは、若い生前はイケメンであっただろう男の人。
うわぁぁんん!!なんて残念!!!
しかも、ゾンビは私を食べるのかと思えば、私の首をベロンと舐める。
え?え?まさかの食事前の味見ぃぃい??!!
「名前から離れなさい!」
バンッ
私を襲ったゾンビはアリスお姉さんの拳銃で頭を貫かれて死亡。
ちょっと血がかかった!
私へのダメージは効果抜群だ!
『わっ、』
「大丈夫か?!」
『マットお兄さーーんんっ!!』
私を立ち上がらせてくれたマットお兄さんに抱き着く。
うぇぇ…、
首にまだ舐められた感触がぁ…、
「っ、こいつら、私たちじゃなくて、名前を狙ってるわ!」
「なんだと?!」
『なにゆえーーっ!!』
私が首への違和感にモヤモヤしていると、アリスお姉さんが大変なことに気付いた。
なにゆえ私ですか!
私、食べても美味しくないよ!
マズイよ!おぇえ!だよ!
【それが名前の不思議な体質なのよ。】
『クイーンちゃん!』
ゲーム機から出てきたクイーンちゃんが、落ち着いたような表情でそんなことを言う。
え?なになに?
私のお肉はゾンビにとって美味な体なんですか?そうなんですかーーっ!!
【とりあえず今は逃げた方がいいわっ!あっちの方にアンデッドがいない場所があるの!そこに行きましょう!】
『うぃむっしゅ!』
「そうね。」「あぁ。」
とゆーわけで、新事実が発覚してしまいました。
私、生贄になってしまったらどうしよーーっ!!!
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bkm