それから何日か経ったあと。あ、わかんない。本当は何日も経ってないかも!
だってもう日にち感覚なんて皆無だよ!マットお兄さんだけが私の友達!状態な私だよ!
それはおーいーとーいーてー。
突然、白い服を着た人は来なくなった。
それにきゃっほい!と踊ったら、マットお兄さんに微笑ましい目で見られたから静かに座った。
そして、突然開かれた扉と、スピーカーから聞こえてくる声。
【久しぶりね!名前!】
「この声は…、」
『クイーンちゃん?!』
聞き覚えのある声に驚いて、大声を出す。
え?え?消えたんじゃなかったの?
あい どんと あんだーすたんど!
グルグルと頭をはてなでいっぱいにしていると、キャハハとクイーンちゃん特有の声。
【また、名前はわからないって顔に出してるわ!】
「それより、お前が何の用だ。」
グルグルと私がわけわかめになってる横で、マットお兄さんが冷たい声でクイーンちゃんに問いかける。
その声に、ハッとマットお兄さんから聞いたクイーンちゃんのしたことを思い出した。
『ま、まって!マットお兄さん!』
「名前、」
『えっと、あのね、クイーンちゃんは、違うんだよぅ!確かに、クイーンちゃんはお兄さんの仲間を殺させようとしたけど、クイーンちゃんが、それをやったのは、』
【名前、いいの、】
『私のためなんだよ!』
「?!」
クイーンちゃんは、私の知らないところで、ずっとずっと私を守ろうとしてくれた。
たくさん人を殺したのは、きっと、私のところに感染者を来させないためで、私を怖がらせないため。
だって、もしも私があのオリから出てたら、きっと感染してたもん。
『だから、クイーンちゃんはいい子なの!』
「……、それは本当なのか。」
【…八割はね。わたしは名前をどうしても守りたかったの。まあ、あんたたちがわたしの主導源を切ったから、無理だったんだけどね。】
「あとの二割は。」
【感染者を外に出さないように、プログラムされてたのよ。】
「…信用してもいいのか。」
【名前がいる限り、わたしはあんたたちを裏切らないわ。】
それを聞いて、マットお兄さんから緊張の糸が外れた。
よかったーっ!
大好きな人が仲悪いとかヤダよ!私!
ホッとしたのもつかの間。
外がだんだんと騒がしくなってくる。
【…もう来たのね。】
『?どゆことー?』
【簡単に話すわ。わたしは今、名前の持っていたゲーム機を媒体としてるの。】
『なんですと!』
あの某ポケットにはいるモンスターゲームカセット入りゲーム機でふか!クイーンちゃん!
そう聞きたいけど、今聞いたら、すごくKYなので自重。
私だって空気読めるんだい!
【ここは、ラクーンシティにあるアンブレラ社の地下。そこから、アンデッドたちがラクーンシティに溢れ出したの。】
「なんだと?!」
【そして、アンブレラ社は、名前を使おうとしてる。】
キリッとした顔で、二人の会話を聞くけど、意味わかんなくて泣きそう。
てゆか、ラクーンシティってどこですかーっ!
それより、なにゆえ私が使われようとしてるのですかーーっ!!!
【名前には不思議な能力があるの。それは、またあとで話すわ。】
え、一番気になるポイントをあとで話すですと?!
クイーンちゃんの鬼畜!
【とりあえず、今から部屋の鍵を解除する。もちろん、アリスの部屋もね。外にいる研究者たちには睡眠ガスでも出しとくわ。わたしの名前をお願いね。】
「お前のかどうかは微妙だけどな。」
そう、クイーンちゃんに悪態をついてから、外に出ようとするマットお兄さん。
それにハッとして、天井に話しかける。
『待って待って!クイーンちゃんのいるとこは?クイーンちゃんも連れてかなくちゃ!』
【わたしはいいから、早く逃げて。】
『ダメ!クイーンちゃんは私の親友だから!……もう、いなくならないで、』
ちょっとだけ、ウルッと来る。
マットお兄さんは、そんな私の頭を撫でると、二カッと太陽のように笑った。
「大丈夫だ。レッド・クイーンも助けに行くぞ。」
『!うん!』
【名前….、ありがとう…。わたしは、アリスの部屋の前のメインコンピュータの前にいるの。そこからは…部屋を出て左に進んで、一番始めの曲がり角を右。そして、次はまっすぐ。それから、三番目の曲がり角を左に行くと行けるわ。】
言い終わると、プツリとクイーンちゃんの通信が切れる。
私とマットお兄さん目を合わせると、扉を開けて外へと飛び出した。
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bkm