それから二時間くらい?
クイーンちゃんがいなくなって、たっぷり泣いた私はジッと体操座りをして、ゾンビたちに囲まれながら、ここから出してくれる人を待ってた。
すると、なにやら扉の前が騒がしいご様子。
バンッと扉が開いた。
いたのは、とても美人なお姉さんとイケメソな男の人ですた。
久しぶりの人にやっふー!とテンションが上がるのも無理はないだす。
「貴方が名前なの?」
『…いえす?』
何故か外国人なのに、日本語ペラペラなお姉さんにちょっぴり焦って英語で答える。
それにしたって、お姉さん。
赤いドレスせくすぃー。
あ、でも、なんでゾンビたちはお姉さんたちは襲わないんだろ。
私の檻はガシャンガシャンしてくるくせに!
ゾンビばーか!
………うそうそ。
ゾンビ恐いんだよぉ!ガクブルなんだよぉ!
そうこうしている間に、お姉さんは私に近付いてくる。
その手に持つのは…
『拳銃ですとっ!』
なんですとっ!
やはりここは外国?
外国なのですかーっ!!
てゆか、そもそもここはどこ?
しかも、お姉さん。
バンバンと拳銃をゾンビたちに当てまくる。
すげぇや!お姉さんすげぇや!
でも、恐いですぞよ!
「私が貴方を助けに来たわ。」
『へ?』
ガチャリ、檻の扉が開いてお姉さんとお兄さんが私に手を差し伸べてくる。
一瞬躊躇って、
私は、その手をとった。
お姉さんの名前はアリス。お兄さんの名前はマットと言うらしい。
可愛らしいお名前とかっこいいお名前でごさまいますね!
「なぁ、お前はなんであんなところにいたんだ?」
『なんか、気付いたらいたみたいな?クイーンちゃんが守ってくれたんですよぅ!』
「クイーンちゃんって…レッド・クイーンのこと?」
『はいな!』
何故だかわからないけど、外国人なはずなのに日本語ペラペラなアリスお姉さんとマットお兄さん。
でも、気にしないことにした。
スルーって大事ね!キラキラ。
お姉さんとお兄さんに手を引かれて階段を登る。
くそぅ!私がもう少し大きければこんな子ども扱いされなくてよかったのに!
身長150cm。年齢15歳の私だよ!
そこ!チビとか言っちゃアカンへよ!
私がクイーンちゃんのことを言うと難しい顔をしてたけど、よくわからないから気にしないことにした。てへ!
階段を登り切ると同時に後ろの扉が閉まる。
『え?あれ、いいの?』
「……いいのよ…」
「………」
しーんと静まるお姉さんたち。
そして、あの凶暴なゾンビ。
だってここに来るまでに、すごい勢いで私たちを追ってきたもん。
なんとなく、なんとなくだけど、たくさん人が死んだのかなぁ。なんて思った。
『…なにかあったか知らないけど、お姉さんたちは私の命を救ってくれたんだから、それを誇っていいと思うよ。たとえ、それが何人の死の上に立ってたとしても。私は生きてるし、お姉さんたちも生きてるんだから。』
にっこりとお姉さんとお兄さんたちに笑いかける。
私はクイーンちゃんが死んだから外に出られた。
それも忘れちゃいけない。
prev next
bkm