人生、力戦奮闘です! 6


私の記憶が確かなら、裏庭みたいなところにいた気がするんだけどなぁ。

そんなことを考えながら、あかねちゃんと乱馬くんを探してグラウンド付近を歩く。

すると、けんかっぷるの争いの声が聞こえたので、そちらに近付く。


『あ、いたいた。』
「なまえ!」
『あれ?なんであかねちゃんと九能さんが向かい合ってるの?それに、乱馬くん大丈夫?』
「へっ…!俺にかかれば、こ、このくらい…!」
『(無理するなぁ。)』


私が行くと、すでにそこには九能さんと向かい合ってるあかねちゃんの姿。
そして、いまだに女の子から戻れてない乱馬くんの姿。しかも、すごい格好。

苦笑していると、九能さんとぴったり目があった。


「君は…!」
『今朝はどうも。』
「なまえ、九能先輩と知り合いなの?」
『いや、今朝ぶつかっただけだよ。』


首を傾げて私に聞くあかねちゃんに笑顔で言葉を返す。
まあ、プロポーズ紛いのこともされたけど、丁重に断ったし。


「結婚しようじゃないか!」
『ごめんなさい。お断りしますね。』
「…なんでプロポーズされてるの?」
『よくわからないけど、この人ぶつかった時からこれなんだ。』
「では、君の名前は…、」


しつこく聞いてくる九能さんに、にっこりと笑顔をむける。


『では、私と勝負してください。』
「よぉしっ!君が勝ったら結婚してあげよう。」
『あ、そんなこと一言も言ってませんから。』


笑顔を保ったまま、九能さんと向き合って構える。

あかねちゃんは乱馬くん放置で私のこと見てるけど、いいのかな。乱馬くん、女の子のままなんだけど。

……ま、いっか!


『じゃ、よろしくお願いしますね。』


にっこりと笑って頭を下げた。


あかねSide

一瞬のことだった。
ふわりとなまえの身体が動いたと思った、次の瞬間、九能先輩はなまえに投げられてた。

流れるような動作に惚れ惚れする。

あたしの双子の姉、天道なまえは、かすみお姉ちゃんにそっくりな大人しそうな外見とは裏腹に、あたしよりも拳法の達人。

強くなるために、中学時代は日本を歩き回ってたらしいし。あたしには内緒で、出掛けたのにはムッとした。

けど、無事だったから、まあ、いいかなって。


『これでいいかなぁ?』
「なまえ、また強くなったんじゃない?」
『ほんと?ふふ。あかねちゃんにそう言われると嬉しいなぁ。』


本当に嬉しそうに頬を緩ませるなまえながら、あたしの髪を撫でるなまえに顔が赤くなる。


「俺はいつでも相手してやるぜ。来な。」
「ふっ、面白い。君が勝ったら、交際してあげよう!」
「だあれが、交際を…、申し込んどるかっ!!」


周りの声は無視。
あたしには優しく微笑むなまえしか見えない。

誰が言おうと、絶対に、なまえは誰にも渡さない。
あたしの大切な姉だもん。あたしの片割れ。

ましてや、男だか女だか曖昧なやつに、なまえは渡さないんだから!


『あかねちゃん?どうしたの?楽しそう。』
「んー?なまえと一緒にいれて幸せだなぁって!」
『!…あはは!あかねちゃん、素直で可愛い。』


蕩けるような笑みを魅せるなまえが、あたしは世界で一番大切なのです。


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