甘味依存症 11


「名前っち、なんか機嫌よくないッスか?」
『うるさい。黙れチャラ男。』
「笑顔で辛辣ッス!」


朝練から私にちょっかい出してくるチャラ男、もとい黄瀬をスルーしながら、私はワクワクして今私の前にいる五人の女の子たちを見る。

昨日私は啖呵を切ったあと、本気で私が辞めるためにも後継人を作ろう大作戦を練った。
征十郎くんにも、一つだけ条件をつけて五人マネージャーを雇ってくれるよう頼んだ。

ちなみに条件はもし、その中の一人でも一ヶ月以上マネージャーを続けられたら、私のいうことを一つだけなんでも聞いてくれるってこと。まあ、逆に一人でもマネージャーが残らなかったら、私はレギュラーのいうこと聞くしかないんだけど。

でも、大丈夫。
私の作戦は完璧だから。

とか、思ってた私の馬鹿。


一人目、透明人間に嫌がらせされたとかで一日で辞めた。
二人目、好きな人にボロクソ言われたとかで辞めた。
三人目、無理!もう無理とか叫びながら辞めた。
四人目、殺されるとか言いながら辞めていった。


残すところ、あと一人。


おい、誰だ透明人間とやら。
誰だ。二人目の好きな人やら。
無理と殺されるってどういうことだ。


もう、絶対一人目はテツだよね。テツでしょ。


「…なんのことですか?」
『一人目に嫌がらせしたのだよ。』
「覚えていません。」
『おい。』


はい、透明人間テツ決定。この野郎。
喧嘩売ってるのですねわかります。


『なんでこんなことしたの…!』
「なにを勘違いしてるんですか?僕はマネージャーに嫌がらせなんてしてませんよ。」
『へ?』
「ただ僕らの邪魔をする人に忠告をしただけです。ただ、僕の存在に気付かなかったらしいですが。」
『…………おーい。』


口元だけ笑ってる私の幼馴染が怖い怖いんだけど。

つーか邪魔ってお前…、
まずい。まずいよ。

今のテツの言い方だと、このマネージャー辞めさせるのにレギュラー全員関わってるよ。
めんどくさいことに…!

最後の一人は絶対私が守ってみせる…!

なんだか変な決意をした夏の日差しがひどい午後。


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