甘味依存症 10


夏の暑さが顕著に表れてきました。
汗だくだくです。

現在、私は校舎裏の日陰の涼しいところで寝たい衝動に駆られています。
まあ、そんなのは無理なんだけどね。


「なんであんたなんかがバスケ部のマネージャーなのよ!私のほうがふさわしいのに!」
「そうよ!なんであんたみたいな普通の子が…」


ぶっちゃけ、めんどくさい。

キーキー騒ぐヒステリックな女たちに冷ややかな視線を送る。
私だって、辞められるなら辞めたいんだよ?
辞められるなら、だけど。


つい、先日の話である。
私がキャプテンである征十郎くんに部活辞めたい、と言ったところ、


「あぁ、悪いな。なんて言ったのかよく聞き取れなかった。もう一度言ってくれないか?」


ハサミを持って脅された。ハサミいくない。
トラウマなんだけど。
つーか、あの爽やかな笑顔が忘れられない。
そして、あのハサミについていた赤いのはなんだったんだろう。

あ、突っ込んじゃいけませんよね。わかります。

まじ、やめたい。


「っ、なんか言いなさいよっ!」


ボーッとしていたら肩を押されて尻餅をつく。

あ、やば。全然話聞いてなかったや。
つか、痛いわ!加減してほしい。切実に。


「あんたなんて、バスケ部にいらないのよ!私たちのなんだから!」
「あんたとあの女のせいで、私たちは邪険にされるのよ?!」
「あんたも大概だけど、あの不細工も生意気なのよ!男に媚びうって馬鹿じゃないの?!」
『……あのさぁ、』


今まで黙っていた私が言葉を発したことに驚いたのか、五人くらいの女の集団が私を見る。

それに私は立ち上がって、そいつらを睨みつける。


『なにふざけたこといってんの?馬鹿なの?アホなの?死ぬの?つーか、あんたたちがマネージャーになりたい理由ってそれだけ?もっとなんかないの?ほら、バスケが好きだからとかさぁ。そんなんないで、あいつらに近寄りたいからやるってだけじゃマネージャーなんてできないに決まってんじゃん。マネージャーの仕事ってどんなことやるか知ってんの?まずねぇ朝は一番乗りに来てみんなが朝練をする環境をつくる。帰りは一番最後に出るしかない。しかも、みんなが練習中、私たちは基本ドリンク作りにタオルの準備。ゲームの時はスコアをとるから、バスケの知識も頭にいれなくちゃなんない。さらに、ボール磨きに、相手校のビデオを見て弱点とかを見つけて知らせるしかなんない。合宿は一緒にお泊りできていいじゃない?馬鹿ですか?アホですか?馬鹿でアホですね。合宿中は、私たちは朝昼晩のご飯作り。しかも、部員が練習中にはいつも通りにドリンク作りとタオルの準備。

ようは休みなんてないんだよ!マネージャーは奴隷なんだよ!』


爆発した。
溜まりに溜まっていたものが爆発した。

私だってやりたくてやったんじゃないっつーの!
ぶっちゃけ辞めたいけど、私が辞めたらさつきちゃん一人でさらに大変だし、征十郎くん恐いし!辞められないんだよ!


『その気持ちが理解できんの??!!!!』
「な、なによ!私たちだってそのくらい出来るわよ!」


ぷっちーん。

……いいよ。わかった。
そうだよね。もし、この人たちが無事マネージャーになれたら、私も解放されるんだもんね。

やってやろうじゃんか!


『……いいよ。そんなに言うなら、私が征十郎くんに言ってあげるよ。明日からマネージャーになりたい人は、朝五時に体育館。しごいてあげるよ。』


ニヤリと笑って、その場に固まってる五人をおいて、私はさっさと体育館へもどった。

よし!これで、あの中の一人でもマネージャーになれたら私は部活やーめよ!


ちょっとルンルン気分になりながら、私は体育館へもどったのであった。




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