NOとは言えないそれが日本人 18


『…あの、なんですか。』
「べ、別になんにもないけど!」


チラチラ見てくる少年に耐えられなくなって、少年の方を向けば目を逸らされた。なぜに。

私、なにもしてないんだけど。


『なら、いいですけど。』


なんでもない、と言われたので、とりあえず前を向く。

人の言ったことをすぐに信じる。
それが日本人です。

それにしたって、チラチラと見てくる少年。

やーめーてー。
みーなーいーでー。

心を無にして遠くを見つめる。
となりを見たら、なんかやっかいごとになる。絶対なる。てか、現在進行形でなってるもん。

ここ、どこ。


「な、なぁ…、」
『………(ジョーカーへるぷ。RDへるぷ。)』
「おい!」
『……はい?』


あえてスルーしていたのに、大声を出されたらスルーできない。


「……」
『えーっと、なんかありましたか?』


なんにも言わないから、私が話しかけるしかなかった。

なんで話しかけてきた。くそぅ。


「俺さぁ、人殺しなんだよね。」
『(なんでそれ言った。なんで言った。)』
「…なんで、俺、こんな生き方しか出来ねぇんだろ。」
『(知らない、知らないよ。)』
「あんたって、なんで俺なんかの夢の中にいんの?」


こっちが聞きたい。

てか、人殺しって重大なカミングアウトだよね。
私って、殺されるの?


「あ。あんたなんか殺さないからさ。安心しなよ。」
『はぁ。』
「……てか、あんたって、なんかいい匂いする。」


待って。どういう意味なの。

ジリジリと近付いてくる少年に、私もジリジリと下がる。


『いや、あのさ、君って、なんて名前?』
「…俺の、名前…?」


とっさに出た言葉。
私の言葉に少年は止まる。
すると、少年はすごい考え始めた。

え、私ってなんか変なこと言ったの?


「なぁ、T-13って名前だと思うか?」
『え、……違うと思う。』
「だよな……」


さらにまた悩み始めた少年。

その様子を見ていると、ふいに頭の中に私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

キョロキョロと辺りを見渡す。
いまだに悩んでる少年はスルーで。


『?ジョーカーと、クイーン…?』


私の名前を呼ぶ人の声を呟けば、次に目が覚めた時、私の目の前にはジョーカーとクイーンがいた。




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bkm
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