NOとは言えないそれが日本人 17


夜、目が覚めた。
けど、なんかおかしい。


『………?』


真っ白な世界。
びっくりするほど、真っ白。

何故に?

もう、私はこの状況ついていけない。

ベチンッとほっぺを叩くけど、全然目が覚める気配はない。むしろ、ほっぺが痛いってどーゆーこと。夢じゃないの。これって夢じゃないの、ねぇ。

諦めてキョロキョロと辺りを見渡す。

諦めることが早いのが日本人。

すると、黒い点が。
もう一回言う。黒い点がありました。


『(えー……)』
「っ、誰だよ!」
『(何故にバレたし。)』


そこから、そっと立ち去ろうとした私にグルンと黒い点が振り返る。
ダメか。このままスルーはダメなのですか。


「あんた、誰。」
『………空気?』
「あぁ。そう……ってなわけないだろ!」
『(ノリツッコミって…)』
「で、誰だよ。」
『名前です。』


ちょっと雰囲気が怖かったから、素直に名前を言うことにした。

この子ども、怒ってるジョーカーと同じ雰囲気。
よって、逆らわないほうが賢明。
だって、ジョーカーは怒ってるときは、本当に怖いんだから。まあ、怒ってるときって、大抵クイーンに対してなんだけど。


「なんであんたは俺の夢の中にいんだよ。」
『(あ、やっぱり夢の中なんだ。)』
「聞いてんのかよ。」


その言葉にコクリと頷く。

ほら。だって私、人見知りだし。
日本人は大抵人見知りなんだよ。


………たぶん。


『目が覚めたらここにいたんです。』
「ふーん…あっそ。」
『(どうでもいいなら、最初から聞くな。)』
「で、あんたはなに。」
『……人間?』


クイーンとかジョーカーみたいな人外みたいな人と一緒にいるけど、私は普通の人間。

……そう信じたいな。

最近、自分が普通じゃないって思えてきたけど、断じて認めない。


「ま、別にどうでもいいや。」
『(なら、聞くな。)』
「どうせ、夢の中だし。」


そう言ってまた蹲った少年。
私、放置されるらしいです。

なにもすることがないので、私もちょこんと少年から離れて座る。
それにしたって、いつになったら目が覚めるんだろう。

そんなことを考えている私の横で、チラチラと少年が見てくる。

チラチラと。そりゃぁもうチラチラと。

とりあえず、気付かないフリをして考えごとに集中するのが、ゴーイングマイウェイを行く日本人。


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