夜、目が覚めた。
けど、なんかおかしい。
『………?』
真っ白な世界。
びっくりするほど、真っ白。
何故に?
もう、私はこの状況ついていけない。
ベチンッとほっぺを叩くけど、全然目が覚める気配はない。むしろ、ほっぺが痛いってどーゆーこと。夢じゃないの。これって夢じゃないの、ねぇ。
諦めてキョロキョロと辺りを見渡す。
諦めることが早いのが日本人。
すると、黒い点が。
もう一回言う。黒い点がありました。
『(えー……)』
「っ、誰だよ!」
『(何故にバレたし。)』
そこから、そっと立ち去ろうとした私にグルンと黒い点が振り返る。
ダメか。このままスルーはダメなのですか。
「あんた、誰。」
『………空気?』
「あぁ。そう……ってなわけないだろ!」
『(ノリツッコミって…)』
「で、誰だよ。」
『名前です。』
ちょっと雰囲気が怖かったから、素直に名前を言うことにした。
この子ども、怒ってるジョーカーと同じ雰囲気。
よって、逆らわないほうが賢明。
だって、ジョーカーは怒ってるときは、本当に怖いんだから。まあ、怒ってるときって、大抵クイーンに対してなんだけど。
「なんであんたは俺の夢の中にいんだよ。」
『(あ、やっぱり夢の中なんだ。)』
「聞いてんのかよ。」
その言葉にコクリと頷く。
ほら。だって私、人見知りだし。
日本人は大抵人見知りなんだよ。
………たぶん。
『目が覚めたらここにいたんです。』
「ふーん…あっそ。」
『(どうでもいいなら、最初から聞くな。)』
「で、あんたはなに。」
『……人間?』
クイーンとかジョーカーみたいな人外みたいな人と一緒にいるけど、私は普通の人間。
……そう信じたいな。
最近、自分が普通じゃないって思えてきたけど、断じて認めない。
「ま、別にどうでもいいや。」
『(なら、聞くな。)』
「どうせ、夢の中だし。」
そう言ってまた蹲った少年。
私、放置されるらしいです。
なにもすることがないので、私もちょこんと少年から離れて座る。
それにしたって、いつになったら目が覚めるんだろう。
そんなことを考えている私の横で、チラチラと少年が見てくる。
チラチラと。そりゃぁもうチラチラと。
とりあえず、気付かないフリをして考えごとに集中するのが、ゴーイングマイウェイを行く日本人。
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bkm