NOとは言えないそれが日本人 14


私とジョーカーを繋いでた手錠がピンと音をたてて、はずれた。
つづいて、かぎ師のジョーさんが、西遠寺さんにかけられた手錠もはずす。

自由になった手で縛っていた髪を解いて、ふるふると頭を振った。

肩に乗ってた猫は、ビーストに預けました。
ずっといたんだよ。猫。

隣では、岩清水刑事の変装をバリバリとはいでいた。グロかった。

上越警部が驚いたように、口をパクパクとさせる横で私は、ジョーカーに抱き上げられる。

すでに抵抗がないことが哀しいかな。


「上越警部、岩清水刑事は安全なので安心してください。」
『じゃ、今からクイーンの変装解きます。』


ジョーカーがクイーンの自己暗示について説明するけど。そこは割愛。

私はジョーカーと目を合わせて頷くと、同時に叫んだ。


「『チェックメイト!』」


自己暗示を解くためのキーワードを聞いてもらなんの変化もない西遠寺さんに、やっぱりクイーンじゃなかった、とちょっとだけテンションが上がる。

するとーー、

「ようやく主役の登場だね。」


西遠寺さんの横にいた、シャモン斎藤さんが、黄色いサングラスを外した。


「ボンソワール。」
「……お前が怪盗クイーンだったのか……」


ホワイトフェイスが悔しそうに、クイーンにいう。


「お話は、あとでゆっくりと。いまは、それどころじゃないでしょう。身代わり、ご苦労様。“黄色いサングラス”。」


クイーンが西遠寺さんに、そう言うと、西遠寺さんの雰囲気が変わった。

シャモンさん、きっとクイーンに暗示かけられたんだろーな。どんまいです。


「では、彼女を助けに行こうか。ジョーカーくん、名前。」


その言葉と同時に、ジョーカーが走り出す。
それは当然、ジョーカーに抱き上げられてる私も揺れるってことで。

ちょっとだけ酔いそうになったのは心に秘めておくことにした。
争いごとになるようなことは言わない。
それが日本人です。




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