私とジョーカーを繋いでた手錠がピンと音をたてて、はずれた。
つづいて、かぎ師のジョーさんが、西遠寺さんにかけられた手錠もはずす。
自由になった手で縛っていた髪を解いて、ふるふると頭を振った。
肩に乗ってた猫は、ビーストに預けました。
ずっといたんだよ。猫。
隣では、岩清水刑事の変装をバリバリとはいでいた。グロかった。
上越警部が驚いたように、口をパクパクとさせる横で私は、ジョーカーに抱き上げられる。
すでに抵抗がないことが哀しいかな。
「上越警部、岩清水刑事は安全なので安心してください。」
『じゃ、今からクイーンの変装解きます。』
ジョーカーがクイーンの自己暗示について説明するけど。そこは割愛。
私はジョーカーと目を合わせて頷くと、同時に叫んだ。
「『チェックメイト!』」
自己暗示を解くためのキーワードを聞いてもらなんの変化もない西遠寺さんに、やっぱりクイーンじゃなかった、とちょっとだけテンションが上がる。
するとーー、
「ようやく主役の登場だね。」
西遠寺さんの横にいた、シャモン斎藤さんが、黄色いサングラスを外した。
「ボンソワール。」
「……お前が怪盗クイーンだったのか……」
ホワイトフェイスが悔しそうに、クイーンにいう。
「お話は、あとでゆっくりと。いまは、それどころじゃないでしょう。身代わり、ご苦労様。“黄色いサングラス”。」
クイーンが西遠寺さんに、そう言うと、西遠寺さんの雰囲気が変わった。
シャモンさん、きっとクイーンに暗示かけられたんだろーな。どんまいです。
「では、彼女を助けに行こうか。ジョーカーくん、名前。」
その言葉と同時に、ジョーカーが走り出す。
それは当然、ジョーカーに抱き上げられてる私も揺れるってことで。
ちょっとだけ酔いそうになったのは心に秘めておくことにした。
争いごとになるようなことは言わない。
それが日本人です。
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bkm