NOとは言えないそれが日本人 11


少しだけ残っていたクリームソーダを一気に飲み干す。それからピョンと椅子からおりて、そーっと二人から離れた。

そのときに猫もおろしたんだけど、後ろからついてくる。なんで。

ぐるぐるしながら猫をどうするかと考えていると、子どもの泣き叫ぶ声がした。つづいて、獣の咆哮。

あ、めんどくさいことになったな、って直感でわかった。


とりあえず、その騒ぎの場所へテクテクとのんきに歩きながら向かう。

あれ?そういえばトルバドゥールに軟禁されてたのは岩清水刑事=クイーンかジョーカーが岩清水刑事に変装してる?

それはマズイ。
そう思って走って騒ぎの中心に向かえば、小さな女の子とビーストが、ライオンと向き合ってる。
周りには今にも銃を撃とうとしている警官たち。


「撃ち方用意ーーー。」
『ダメ!!!!』


そう叫んで私は二人の前に立つ。
ビーストからハッとしたような声が上がったけど、それを無視してライオンと向き合う。

私が叫んだときに、岩清水刑事に変装したジョーカーかクイーン(きっとジョーカーだと思われる。だって、もしもクイーンだったら、もっと派手にライオンを止めるもん)も叫ぼうとしてたから間一髪。
もしも岩清水刑事が止めてたら、変装バレてたし。

え?私?…私は大丈夫だからいいのです。


『えーっと…、拳銃をしまっていただけますか?私のこと、気付いてますよね?』


そう言うと、黒田さん(RD争奪事件のときにいた頭でっかちな頑固親父)がわかったとでも言うのうに片手をスッとあげた。警官たちが銃を下ろす。


『よかった。じゃあ、ライオンさん。おりの中入ろっか。』


ライオンに近付いて撫でれば、ライオンはグルグルと喉を鳴らして、私に擦り寄ってくる。
それににっこりと笑いながら、ライオンさんをおりの中に入れると、鍵をかけた。

それから目があった岩清水刑事にはニッコリと笑顔を見せておきました。まる。


ガチャリ、私の右手首に手錠がかけられる。つづいて、私に手錠をかけた人物は自分の左手に、もう片方の手錠をかけた。

ちなみに私の肩にはいまだに猫がいたりする。さらに言うと、ついさっきおりの中にいれたライオンと私の肩にいる猫はすごい勢いで私に手錠をかけた人物、岩清水刑事に威嚇している。

…なんで私ってこんなに動物たちに愛されてるんだろ…?

思わずそんなことを思ってしまった午後三時四十八分。




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