NOとは言えないそれが日本人 10


岩清水刑事と上司の愚痴大会で盛り上がったあとは、食事の時間なって、ラーメンを食べた。とても美味しかったです。

……敵とこんなに悠長にしゃべっててもいいんだろうか。

と、思ったけど、口には出さないでおいた。


まあ、そんなこんなで現在二時ちょっと前。
とりあえず、私はサーカスに向かうことにした。

一言文句言って、帰ろう。実家に。

ちなみに岩清水刑事は寝ている。
私が言うのもなんだけど、敵のアジトでこんなにのんびりしてていいのだろうか。
この人、刑事だよね…?

と、そんな不安は胸に秘め、RDの名前を呟く。


【なんですか?】
『私、今からサーカスに行くからワイヤーおろして。あと、実家に帰る。』
【…まあ、頑張ってください。(無理だとは思いますけど。)】


なんかRDの()の中身が聞こえた気がしたけど、 スルーすることにした。
空気を読む。それが日本人です。

キュッと短めの髪を二つに縛ると、あら不思議。
どうみても幼女にしか見えない私の出来上がり。泣きたい。それに一応変装用の帽子を被れば、うん。どこからどうみてもサーカスを見にきた子供。なんだか涙が出そうだ。


『じゃ、いってきます。』
【(いろんな意味で)気をつけてくださいね。】
『ん。(いろんな意味で)気をつける。』


そして、私はワイヤーを使って地上へとおりた。

私とRDの会話に()があったのは突っ込まない。突っ込まないから。
だって、私は控えめな日本人だもの。


*-*-*-*-*-*-*-*

現在、二時半。別名、十四時半とも言う。

私はサーカスの周りをうろちょろとしていた。
ちなみにRDからお小遣いをもらったので、大テントの中にあるスタンドバーにてクリームソーダを買った。あれってすごく美味しいよね。大好き。

まあ、それはいいや。
クリームソーダを飲みながら、私の足に擦り寄ってきた一匹の猫を抱き上げて、私はこれからのことを考える。

とりあえずテントの裏に入らないと駄目かなぁ。
でも、入ったら絶対に動物たちが騒がしくなるからなぁ。

うーん、うーん、と頭を捻りながら、そんなことを考えていると、隣の席に誰かが来た。


「ーー伊藤さん、ちゃんと取材してるんですか?」


伊藤さん、その名前に聞いたことがある気がしてそーっと隣を見ると、RD争奪事件のときにいた、関西弁バリバリキャリアウーマンな記者さんがいた。
その隣には若干疲れている男の人。

うーわー。めんどくさい。

そんなことを思っても顔に出さないのが日本人です。



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bkm
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