目が覚めたら何故かフワフワのモコモコなものに囲まれてた私。
あれ?イヤな予感しかしない。
おそるおそるモコモコフワフワなものに目を向けると、そこにいたのはライオンと虎だった。
『……………』
ちょっと、いろいろついていけなくて放心していると、ベロンと虎に顔を舐められる。
やだ、ここどこ。
虎とライオンの頭をグリグリと撫でながら辺りを見渡す。
私がいた場所。そこは檻だった。
…いや、笑えない。笑えない。
そんなことを考えていた私をシャッと強い光が照らした。
眩しさに目を細める。
すると前から左目の下に雫をつけたピエロが私の元まで歩いてきた。
「きみがなにもしなくとも猛獣を手懐けられるという女の子だね。」
『違います。なにもしてないのに、襲われるんです。』
ちょっと語弊があったので直す。
誰がいつ手懐けた。
私は襲われてるんだ。
死んだような目をした私がそう言うと、そのピエロはクックッと笑う。
わらいごとじゃないんだけどな。
切実なんだけどな。
『で、あなた方は私になんの用ですか?』
「ずいぶんと冷静なんだな。」
『まぁ。いろいろついていけなくなるのはしょっちゅうなことなんで。』
思えば、まだ小さい私を盗んだクイーンを始め、いろいろなついていけなくなることが起こった。
普通はまだ13歳の女の子を盗もう!とか言わないよね。
あの時ほど、驚いたことはない。
てか、私の意志が完璧スルーされてたし。
「それでは本題に入ろう。きみは怪盗クイーンの一味だね?」
『…そう、なりますね。』
「では、きみがいつも動物を使うと言われているスペードかな?」
『使うだなんて…失礼な。私、動物を使ったことはありません。しいて言えば…、勝手にくるんです。』
一番驚いたのは、私がぼそりと呟いただけなのに勝手に宝石盗んできたことだよね。
なんか泣きそうになったので、近くにいたライオンに顔を埋めた。
「では、最後に。われわれのサーカス団に入らないか?」
『あ、無理です。だって、私は一応あの怪盗のものですから。』
ニコリと笑って断っておいた。
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bkm