なんだかんだでヒビキくんに言いくるめられたわたしはヒビキくんと旅をすることになった。
また人に頼っちゃうのかな?
あんまり人に頼りたくないんだけどな。
「ナマエさん?」
『ぁっ…ごめんね。行こっか』
「そうですね」
ヒビキくんはそう言ってにこっと笑う。
この短時間で分かったのはヒビキくんはとっても頭がいいと思う。
最初は一緒に旅を渋っていたわたしもヒビキくんに言いくるめられてしまった。
それにわたしがウツギ博士から荷物をもらった後、ウツギ博士と難しい話をしていた。
ヒビキくんは恐い人。
なんだか直感的にそう思ってしまった。
「では、ウツギ博士行ってきます。ゴールドをよろしくお願いします。」
「うん。分かったよ。ヒビキくんもナマエちゃんも気をつけてね。」
『ぁ…行って、きます。ウツギ博士ありがとうございました。』
わたしはお辞儀をしてお礼を言う。
頭ではヒビキくんの言っていた“ゴールド”という少年のことを考えながら。
ヒビキくんとゴールドくんはきっと兄弟。
じゃぁここは初代金銀とリメイク金銀のどちらの主人公もいるってこと?
なんで?
それならファイアレッドとリーフグリーンの主人公がいても不思議じゃないのに。
あぁ、分からない。
「ナマエさん、歩いてマサキさんのところまで行くんですか?」
『えっ、あ。うん。わたしはそのつもりだけど…ヒビキくんが嫌なら空を飛んで行く?』
「大丈夫です。僕もなるべくナマエさんと長い間一緒にいたいので。」
その言葉にわたしは思わずビクリと肩を震わす。
だってヒビキくんの目が笑っていなかった。
口元はにこりと笑っているのに目は笑ってない。
素直に恐い。わたしはそんな人をつい最近まで見ていた気がしたけど誰だかは思い出せなかった。
「じゃあ行きましょうか。」
わたしの手に自分の手を絡めて笑いながらそう言うヒビキくんはわたしが離れることを許さないと言っているようで。
わたしはきっとここにいる間はヒビキくんから離れられないと、そんな予感がした。
こうしてわたしとヒビキくんはワカバタウンからコガネシティまで一緒に旅をすることになった。
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bkm