『景吾…さすがにこれは恥ずかしいよ…』
「アーン?なんか文句あんのか?」
『……』
ありまくりだよ。このやろー。
現在、私は生徒会室のソファーで景吾の膝に跨って抱き締められてる。
文句、ありまくりなんだけど、私には言えない…!
舞原まどかのせいで、たまりに溜まった景吾のストレスを刺激するようなこと、私には言えないよ…!
『うん。なんか、ごめんね。』
「………」
無言で私を抱き締める力を強くする景吾に苦笑い。
やっぱ苦労させてたんだなぁ。
まあ、当分は頑張ってもらうけども。
『あ、そういえば。』
「なんだ?」
『舞原さん、テニス部入ったの?』
身体を回転させて、景吾を見れば、わかりやすく嫌そうに顔を歪めていた。
あ、なんかあったんだろうな。
「あいつが一人で言ってるだけだろ。俺は、名前以外のマネージャーはとる気ねぇよ。」
『景吾可愛い!』
「アーン?かっこいいの間違いじゃねぇのか。」
『あ、それはない。景吾は可愛いんだよ!』
私の言葉に、ガーンっとでも言いそうなヘタレ景吾の頭を撫でると、私は笑った。
だって、景吾は可愛いんじゃんね!
たまにイケメンだけど、基本は可愛いだから!
プリティーだから!あ、でも宗くんのが可愛い。
「……かっこいいの、間違いだろ?」
『あーはいはい。景吾はかっこいいね。』
「……!フッ…当たり前だろ。」
うん。やっぱり可愛いわ。
私も、上目遣いでそう言われるとは思わなかった。
さすが(気分的)私の弟!可愛いわ!
『まあ、それはいいとして。』
「なんだ?」
『景吾と舞原さんの婚約話はどうなったの?』
私の言葉にこれまた顔を歪ませる景吾。
あ、こりは、なんかあったんだな。
てゆうか、財閥の跡取りたるものがそんなにわかりやすくてはいけません!ポーカーフェイスでおーけー。
ちなみに、景吾と舞原さんの婚約話はつい先日あった本当の話らしい。
まあ、私はいなかったからわかんないけど!
なんで知ってるかっていうと、父親が私に言ってきたから。
お父さんは私と景吾が付き合ってるって思ってるらしいよ!
まあ、私はあいちゃんがいる限り、誰とも付き合ったりしないけどね!あいちゃんらぶ!
「あの女も頭おかしいが、あの親もおかしいぜ。」
『……なにが?』
ちょっと思考があいちゃんの方に行ってたので、慌てて景吾の方に思考を戻す。
すると、また景吾が私を抱き締める力が強くなった。
『(これは…、痛い…)』
「あいつの親が、俺とあのクソ女が結婚すれば、両社に利益があるとか言いやがってよ…うちには利益なんか出ねぇだろ。」
『景吾の家のが大きいしねー。』
「はぁ…本当、ふざけんじゃねぇ。」
あぁ、こりゃぁ景吾怒ってるなぁ。
なんて、思いながら、景吾の頭を撫でる。
それに目を細める景吾に、これはもう末期?とか考えちゃうのも無理はない。
目を細めるってどこの猫ですかー。
でも、可愛いから許す。
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bkm