泰然自若 26


『景吾…さすがにこれは恥ずかしいよ…』
「アーン?なんか文句あんのか?」
『……』


ありまくりだよ。このやろー。

現在、私は生徒会室のソファーで景吾の膝に跨って抱き締められてる。

文句、ありまくりなんだけど、私には言えない…!
舞原まどかのせいで、たまりに溜まった景吾のストレスを刺激するようなこと、私には言えないよ…!


『うん。なんか、ごめんね。』
「………」


無言で私を抱き締める力を強くする景吾に苦笑い。

やっぱ苦労させてたんだなぁ。
まあ、当分は頑張ってもらうけども。


『あ、そういえば。』
「なんだ?」
『舞原さん、テニス部入ったの?』


身体を回転させて、景吾を見れば、わかりやすく嫌そうに顔を歪めていた。

あ、なんかあったんだろうな。


「あいつが一人で言ってるだけだろ。俺は、名前以外のマネージャーはとる気ねぇよ。」
『景吾可愛い!』
「アーン?かっこいいの間違いじゃねぇのか。」
『あ、それはない。景吾は可愛いんだよ!』


私の言葉に、ガーンっとでも言いそうなヘタレ景吾の頭を撫でると、私は笑った。

だって、景吾は可愛いんじゃんね!
たまにイケメンだけど、基本は可愛いだから!
プリティーだから!あ、でも宗くんのが可愛い。


「……かっこいいの、間違いだろ?」
『あーはいはい。景吾はかっこいいね。』
「……!フッ…当たり前だろ。」


うん。やっぱり可愛いわ。

私も、上目遣いでそう言われるとは思わなかった。
さすが(気分的)私の弟!可愛いわ!


『まあ、それはいいとして。』
「なんだ?」
『景吾と舞原さんの婚約話はどうなったの?』


私の言葉にこれまた顔を歪ませる景吾。
あ、こりは、なんかあったんだな。

てゆうか、財閥の跡取りたるものがそんなにわかりやすくてはいけません!ポーカーフェイスでおーけー。

ちなみに、景吾と舞原さんの婚約話はつい先日あった本当の話らしい。
まあ、私はいなかったからわかんないけど!
なんで知ってるかっていうと、父親が私に言ってきたから。
お父さんは私と景吾が付き合ってるって思ってるらしいよ!

まあ、私はあいちゃんがいる限り、誰とも付き合ったりしないけどね!あいちゃんらぶ!


「あの女も頭おかしいが、あの親もおかしいぜ。」
『……なにが?』


ちょっと思考があいちゃんの方に行ってたので、慌てて景吾の方に思考を戻す。

すると、また景吾が私を抱き締める力が強くなった。


『(これは…、痛い…)』
「あいつの親が、俺とあのクソ女が結婚すれば、両社に利益があるとか言いやがってよ…うちには利益なんか出ねぇだろ。」
『景吾の家のが大きいしねー。』
「はぁ…本当、ふざけんじゃねぇ。」


あぁ、こりゃぁ景吾怒ってるなぁ。
なんて、思いながら、景吾の頭を撫でる。

それに目を細める景吾に、これはもう末期?とか考えちゃうのも無理はない。
目を細めるってどこの猫ですかー。

でも、可愛いから許す。





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bkm
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