『景吾。私、今日は生徒会室から出ないから。』
景吾と二人っきりの生徒会室で横になりながら呟くように言った。
今さらだけど、生徒会は会長と副会長しかいない。
あとは、私たちの補佐として宗くんがいるだけ。
「…あの女がいるからか?」
『んー…まあ、ね。宗くんには言ってあるから。お昼も頼んである。景吾はあの女のことよろしくね。』
ヒラヒラと手を振ってソファーの上で寝る体制をとる。
ちなみにこのソファーはベッドにもなる高級ふかふかソファーである。金持ちやっふい!
「……名前、終わったら付き合ってもらうからな。」
『膝枕でもなんでもしてやんよ!』
私の言葉に景吾にしては珍しく、め ず ら し く !子どものように微笑むと、私の頭を撫でて生徒会室から出て行った。
『……反則だ。』
ちょっとだけ、赤くなった顔を冷ますように両手で頬を包んだ。
跡部Side
俺は幼い頃からずっと、幼馴染である酢乙女名前が好きだ。愛してる。
だからこそ、名前を傷付けるやつは絶対許さねぇ。
そんなやつがいたら、殺してやりてぇくらいに。
たとえ、名前が俺の恋心に気付かなくても、俺は名前を護り続ける。
名前が俺を想ってくれるまで。
本当は俺たちが幼い頃に婚約者になるって話も出た。だが、俺のことが好きでない名前と結婚するなんて意味がない。だから断った。
そしたら、あいつはしんのすけとか言うやつと婚約したとかなんとか言いやがってくそっ。
あいつはわかってない。
自分が俺たちにどう思われてるかなんて。
俺たちのことをいつだって子ども扱いだ。
「ったく、」
「……跡部、さん。来ました…」
樺地の言葉に睨むように女、舞姫まどかを見る。
俺たちに不必要な女。名前が嫌う女。
「あ!景吾ぉ!来てくれたのぉ?ありがとぉ!」
女はそう言って上目遣いをしながら、俺の腕に自分の胸を当てるようにして腕を絡めてくる。
香水臭さが俺の身体にまとわりつく。
好きでもない女にこんなことをやられても不愉快なだけ。
俺に触るのは名前だけでいい。
バッと女の腕を振り払う。
「俺様に触るんじゃねぇ。何回も言ってんのにわかんねぇのか。アーン?」
「あっ…!ごめんねぇ、照れちゃうんだよねぇ!」
見当違いのことを言う女を殺したくなる。
今にも殺す勢いで睨んでいると、隣にいた樺地に止められた。
「チッ。おい、こっちに来い。」
「あ、うん!」
当分は、俺がこの女の面倒を見なくてはいけないのかと思うとため息が出た。
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bkm