甘味依存症 6


そういえば、私ってさつきちゃん以外の友達っていないんだった。

教室でポツンと一人寂しく座りながらそんなことを思った。


『いやいやいや。に、したってこれはない。』


友達もいない私は授業変更のこと教えてもらってない。まあ、誰もいないから移動教室だっていうことはよく分かったけど…

なにこれ集団いじめ?
一人くらい教えてくれてもいいじゃないか。

ちなみに私のために弁解するけど、私はどちらかというと社交的な方だ。
さつきちゃん以外の友達がいないのは、さつきちゃんの悪口を言ってた女子にイラッてきて、ちょっと言い返しちゃっただけなんです。

それで友達いなくなるって…なんなんだろう。

まあ、でもさつきちゃんと友達になったことは後悔してないし。うん。いいと思う。

それより問題はどこに行くかである。


『ここはあえての理科室に行くか、それとも体育館?…いやいやいや、体育館は私がやだ。運動したくない。』


ブツブツとそんなことを呟いていると、後ろからブハッと笑いを吹く音が聞こえた。
それに後ろを振り返ればそこにいたのはチャラ男だった。

うげ。私、こいつ苦手なんだよね。


「アハハ!色彩さんって面白いっスね!」
『………』
「ちょっ、シカトしないでくださいよ!」


シカトして理科室にでも行こうとしたら、チャラ男に肩を掴まれた。

くっそ。私のことはぜひほっとけ。


『なんなんですか。私、今から授業に向かうんですけど。』


心底イヤな顔をしながら言ってやる。
こいつと話したことはないけど、いつも女子を引き連れてて、いいイメージがない。

いや、本当に。

しかも、笑顔が薄っぺらいとはよく言ったもんだよね。こいつ、なんかいろいろどうでもよさそうでさぁ。
てか、ぶっちゃけこの男が運動神経良すぎてムカつく。

私情が入りまくりとか全力で気にしない。


「いや、今から体育っスけど…着替えないんスか?」
『……どうも、教えてくれてありがとうございました。』


一応、お礼を言ってからロッカーから体操服を取り出す。

体育とかやだな。サボりたい。

そんなことを思いながら振り向くと、近くにはチャラ男。
なんなんだ、一体全体。
さっさと体育に戻れ。


『あの、なんですか。』
「いやー、俺も忘れ物したんスよ。体操服。」


ほら、と言ってチャラ男は体操服を私に見せる。
それに「どうでもいいんだけど。」とか思いつつ、私はふーんと言ってからそのまま教室を出ようとした。

すると、後ろから慌てたような声が聞こえたけど無視。無視だ。めんどくさいし。


「ちょっ、どうせなら一緒に行きましょうよ!」
『………』
「なんで無視するんスか?!」
『……………』
「ひどくないッスか?!」


シカトして歩ってたら、だんだんうっさくなってきたので、仕方なーく相手してやろうと振り向く。


『はぁ…なんなんですか。私、忙しいんですけど。』
「忙しくないっスよね?!」
『忙しいです。歩くのに。』
「ひどいっス!」


ため息ついてから無視して更衣室に向かった。

私のスルースキル馬鹿にしちゃアカン。


prev next

bkm
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -