甘味依存症 4


『ふわぁー、終わったぁー…』


やっとドリンク作りが一段落したのでその場に座り込む。
帝光バスケ部マネージャーに就任して二ヶ月。

中学一年生だった私は中学二年に進級し、なんかチャラ男と同じクラスになった。このチャラ男がなんかすごいらしい。
まあ、これはかんっぜんに余談なので置いておく。

で、二ヶ月も経つと当然(不本意ながら)マネージャー業にも慣れてくる。
二軍と三軍にはタンクに入れたドリンクを濃いめ、レモン入り、薄めと出し、一軍には各自のボトルにドリンクを入れる作業ももうお手の物だ。
一番の大誤算はさつきちゃんがドリンク作りが全然できなかったことです。

さつきちゃんは料理全般が出来なかった。
ので、私がドリンクの作業をやってる。
で、さつきちゃんは部員のデータ取り。

まあ、タオルとかはさつきちゃん手伝ってくれるしいっか。

と、思いつつ休憩中。


「名前ちーん。」
『うっ、』
「お菓子ちょーだーい。」


休憩してたら敦くんののしかかり攻撃にあった。
いや、すごく重いんだけど。
毎回思うけど、この子って自分の身長分かってないよね?200pもある男が50pも下の女子にのしかかるって…!


『わかったから退いてね!』
「えー」
『退かないとお菓子あげない。』


そう言うと敦くんは渋々だけど私の上から退いてくれた。
お菓子をあげれば大抵のことはいうこと聞いてくれるから、敦くんは扱いやすいんだよね。

そんなことを思いつつ、近くにあったカバンからマカロンを取り出す。
すると、私があげる前に私からマカロンを奪った。

この野郎。


『敦くんだけのじゃないからね。ちゃんとテツたちにもあげて。』
「えー。俺の食べる量少なくなるし。」
『だから、敦くんのはこっちね。』


そう言ってもう一つのマカロン入り袋を取り出す。
気分は某猫型ロボットだ。

私が取り出すと敦くんの目がキラキラと光った気がした。


「名前ちん、ありがとー。」
『わかった、わかったから。私を抱き締めるのはやめんしゃい。』
「えー。別にいいじゃん。」
『えーじゃない。えーじゃないよ。てか、早くしないと休憩終わっちゃうから。ほら、行くよ。』


私に今だにひっつこうとしてる敦くんの手を引っ張りながら片手ではお菓子を持つ。

ちなみに最初はクッキーにしようかと思ったけど、途中からマカロンが食べたくなったのでマカロンにした。マカロンうま。だから、ちょっとだけクッキーが入ってる。


「紫原くん。なんで、ボクの名前にひっついて、さらに手を繋いでるんですか。」
『あ、テツ。ちょうどいいや。これ、一緒にみんなに配ろ。』
「…わかりました。とりあえず紫原くんは名前から離れてください。」
「えー…」
『とっにっかっくっ!二人とも離れろ!』


左には敦くん。右にはテツ。
暑苦しいわ!

つか、突っ込むのもめんどくさくてスルーしたけど、私はテツのじゃないやい!


『じゃ、私はさつきちゃんに渡してくるから他の人たちに渡しといてね!渡しとかなかったら、テツは私の家に来るの禁止。敦くんには明日のお菓子なしね。』
「渡しときます。」「渡しとくからお菓子ちょうだいねー。」


即答する二人にちょっと可愛いと思いつつ、私は二人に背を向けてデータ整理をしてるであろうさつきちゃんのもとに走り始めた。




prev next

bkm
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -