リンゴとハチミツ 10


そして私は何故か榎木家と明治神宮。
うん…おじいちゃんとおばあちゃんは、榎木家を信用し過ぎだと思うのよね…
一応、お正月って、家族で過ごすものじゃないのかな…なんて、今さらだよね。うん。私が間違ってました。

それにしたって、


『実くん、かぁいい!』
「う?」


クマの帽子を被って、坊主にしたのを隠してる実くんが可愛くて仕方ない。

思わず、ぎゅーっと実くんを抱きしめる。
もう可愛くて仕方ありません、せんせー。
こんな弟欲しいわ!


「なまえちゃあ、あんねー、みのね、なまえちゃ、しゅきー!」
『わたしも、実くんだあいすき!』


ニコニコと幼女スマイル(本物)をしながら、実くんとギュッと手を繋ぐ。

と、後ろから声。


「名前、僕のことは?」
『?たくやお兄ちゃんも大好きだよ!』
「ふふ、僕も大好き。」
『!』
「?どうかした?」
『あ、ううん!なんでもないよ!』
「そう?なら、いいや。」


ごめん。拓也くん。
一瞬、拓也くんの言葉に本気臭を感じて、ちょっとびっくりしちゃったんです。

ほ、本気じゃないよね…?
幼女にそんな本気で大好きなんて言わないよね…?
ろ、ロリコンなんかじゃないって信じてる。

そして一番突っ込みたいのは、後ろで私たちの写真を撮ってる春美さんです。

な、なんで写真を…





「名前、大丈夫?」
『うん。たくやお兄ちゃんと手ぇ繋いでるから、大丈夫だよ。』


人混みの中で、必死に拓也くんの手を繋ぎながら、にっこりと笑う。ちなみに実くんは春美さんに肩車してもらってる。可愛い。
さすがに、こんなに大勢の人たちの中で、拓也くんに抱っこしてもらったら、拓也くんも負担になっちゃうと思うし。


「抱っこしたかったなぁ…」
『…………』


そんな拓也くんの言葉は聞いてない。
断じて聞いてないよ。大丈夫。うん。


「!パパー!にーちゃあ、なまえちゃー!」
「わっ、」
「あれあれー」
「あれ?」


実くんがいきなり春美さんの頭の上で暴れ出して、どこかを指差した。
幼女な私は残念ながら、その指の先になにがあるのかわからない。まあ、拓也くんと春美さんの会話から察するに、小さい子どもがいたらしい。

ちょっとだけ見たかったり。




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bkm
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