そして私は何故か榎木家と明治神宮。
うん…おじいちゃんとおばあちゃんは、榎木家を信用し過ぎだと思うのよね…
一応、お正月って、家族で過ごすものじゃないのかな…なんて、今さらだよね。うん。私が間違ってました。
それにしたって、
『実くん、かぁいい!』
「う?」
クマの帽子を被って、坊主にしたのを隠してる実くんが可愛くて仕方ない。
思わず、ぎゅーっと実くんを抱きしめる。
もう可愛くて仕方ありません、せんせー。
こんな弟欲しいわ!
「なまえちゃあ、あんねー、みのね、なまえちゃ、しゅきー!」
『わたしも、実くんだあいすき!』
ニコニコと幼女スマイル(本物)をしながら、実くんとギュッと手を繋ぐ。
と、後ろから声。
「名前、僕のことは?」
『?たくやお兄ちゃんも大好きだよ!』
「ふふ、僕も大好き。」
『!』
「?どうかした?」
『あ、ううん!なんでもないよ!』
「そう?なら、いいや。」
ごめん。拓也くん。
一瞬、拓也くんの言葉に本気臭を感じて、ちょっとびっくりしちゃったんです。
ほ、本気じゃないよね…?
幼女にそんな本気で大好きなんて言わないよね…?
ろ、ロリコンなんかじゃないって信じてる。
そして一番突っ込みたいのは、後ろで私たちの写真を撮ってる春美さんです。
な、なんで写真を…
▽
「名前、大丈夫?」
『うん。たくやお兄ちゃんと手ぇ繋いでるから、大丈夫だよ。』
人混みの中で、必死に拓也くんの手を繋ぎながら、にっこりと笑う。ちなみに実くんは春美さんに肩車してもらってる。可愛い。
さすがに、こんなに大勢の人たちの中で、拓也くんに抱っこしてもらったら、拓也くんも負担になっちゃうと思うし。
「抱っこしたかったなぁ…」
『…………』
そんな拓也くんの言葉は聞いてない。
断じて聞いてないよ。大丈夫。うん。
「!パパー!にーちゃあ、なまえちゃー!」
「わっ、」
「あれあれー」
「あれ?」
実くんがいきなり春美さんの頭の上で暴れ出して、どこかを指差した。
幼女な私は残念ながら、その指の先になにがあるのかわからない。まあ、拓也くんと春美さんの会話から察するに、小さい子どもがいたらしい。
ちょっとだけ見たかったり。
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bkm