実くんがイタズラを覚えました。
てゆか落書き?
それで拓也くんは苦労してるらしいです。
私も苦労してます。
実くんのどこにでも絵を書こうとするのを止めるように…!
この前なんて由加子さんと拓也くんの写真に落書きしようとしてて焦った。
止めてなかったら拓也くん、すごい勢いで怒ってたよ絶対。
「そういえば、名前は発表会でなにをするの?」
『え、』
その言葉にギクリと身体を動かす。
そうなのです。もうすぐ幼稚園の発表会が始まります。
実くんの組はボンキッキ体操をやるそうな。羨ましい…
私もそんな平和な体操とかをしたかった…
「名前?」
『え、あ、えっと、』
本音を言うと、言いたくない。
なぜなら私の組は発表会で、白雪姫なるものをやるからです。
しかも、私がお姫様役。
一加ちゃんのすごい要望でそうなった。
ちなみに王子様役はマサくん。
やりたくないよぉぉおお!!!!
やりたくないし、見られたくない。
拓也くん、実くんの見終わったら帰ってくれないかな……、
「ちゃんと見に行くから安心してね。」
安心出来なくなった。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「名前ちゃん、お姫様すごく似合ってる!」
『あはは…一加ちゃんありがと……』
白雪姫のドレスの衣装合わせをやってると、自分の衣装合わせが終わったらしい一加ちゃんが私のところにきた。
ちなみにお姫様役は二人。私と一加ちゃん。
ほら、まだ小さいから台詞とか全部覚えきれないからね。
それにしたって恥ずかしすぎて涙目。
フリフリのドレスに可愛らしいお花付きのカチューシャ。なんなのこれ。羞恥プレイ?
「ぁ、」
『あれ、マサくん?どうしたの?』
「どうよ!名前ちゃんは可愛いんだからねっ!」
何故か王子様姿のマサくんが来て、何故か胸を張ってマサくんにそんなことを言う一加ちゃん。
うん?なんかおかしくない?
そして顔を真っ赤にするマサくんに、あれ?私ってば、もしかして幼稚園生の初恋奪っちゃった?なんて不安が過る。
「か、」
「『か?』」
「かっ、かわいくなんてねーんだよ!ブスッ!」
『えーっと、ごめん「なんてこと言うのよーっ!」えっ、ちょっ、』
何故かブスって言われてしまった。
それになんか罪悪感を感じ謝ろうとしたところで、マサくんと一加ちゃんの喧嘩勃発。
それにまたかー、とちょっとだけ呆れる。
最初、口喧嘩をしていた二人がだんだんと殴り合いに発展することもいつものことなので、間に入る。
『けんかしちゃダメだよ?』
「「だって!」」
『だって、じゃないの。マサくんも一加ちゃんも、せっかくおめかししてるんだから。かっこいいカッコウと、可愛いカッコウが台無しだよ?』
「「…ごめんなさい……、」」
しょぼんと落ち込む二人の頭を撫でて、にっこりと微笑んだ。
そんな幼稚園での一コマ。
その次の日の発表会では、拓也くんがシスコン全開でどうしようとなるんだけど、それは割愛。私のメンタルが持ちません。
なんであんな子になったのかお姉さん不思議でたまりません。
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bkm