リンゴとハチミツ 7


可愛かった犬が逃げちゃって内心しょぼーんとしていたけど、実くんが泣いてるので慰めようと実くんに近づく。


「あぅあぅ…、」
『実くん!ヒロちゃん守っていい子だったね。』
「うぇ〜〜ん」


泣いてる実くんの頭をぽんぽんと撫でる。
すると実くんはさらに泣いてしまった。

どうしよ。これ。

ちょっと困惑していると、ヒョイと拓也くんに抱き上げられた。

うん。拓也くん力持ちだね。
私まで持ち上げてるし。


「実偉いぞ。」
「にーちゃぁ」


私ごと抱き締める拓也くんにうん?ってなるけど、ここで突っ込むほど空気読めないわけじゃないので、そのまま拓也くんに、実くんと抱き着く。
横でヒロちゃんが泣きながらお兄ちゃんの服の裾を引っ張てるのを見て、なんだかホッとした。

やっぱり兄妹は一緒が一番だよね!


「拓也、やっぱりお前ってすごい立派な兄だよなぁ。俺にはとても真似できねーや。ヒロもきっとそう思ってるよ。」


そんなことを言って遠くを見つめる拓也くんのお友達のゴンちゃん。

それに拓也くんはフワリと笑う。


「ゴンちゃん。ヒロ、ずっとゴンちゃん待ってたよ。ヒロって可愛いね。」


拓也くんの言葉に、ゴンちゃんくんは難しい顔でヒロちゃんを見る。

いやいや、もっと喜んであげようよ。
自分の妹が可愛いって言われたんだし。


「ま…とにかく、実偉かったぞ。身をていして女を守る。それでこそ男の中の男。」
「女……?誰が?」
『…え、』


拓也くんの言葉に思わず声を出してしまった。

拓也くん、ヒロちゃんが女だって気付いてなかったの…?うそん…、


「誰って…こいつの名前浩子って言うんだぜ。」

ずるっ

拓也くんの腕から私が落ちた。
まあ、実くんが落ちなかったのでよし。

それよりも、拓也くんはよっぽどヒロちゃんが女の子ってことに驚いたらしい。


「だってだってだって、女の子だなんて聞いてないよーーっ!」
「お前…自己紹介の時、わざわざ私は男ですってゆーか?それにどー見ても女だろーが。」


それに難しい顔をする拓也くんに私も苦笑い。

なんだか上で変なことになってるけど、私は気にしないで砂遊びを続行したい。
最近、自分の精神年齢も退化してる気がします。


「あー、」


そう言って実くんの手をきゅっと握るちょっとだけ頬を赤くするヒロちゃん。

あ、と思った。


「ーーひ…浩子が……実に恋をした。」


幼馴染ラブストーリーの始まりを見た気分になりました。まる。

後に残された複雑な顔をした拓也くんと脅えたような実くんの顔を見て、ヒロちゃん頑張って!と思ったのは言うまでもない。


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bkm
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