リンゴとハチミツ 3


まあ、いろいろあったけどそんなこんなで、ピクニックも無事?終わりました。
帰り道はんぱなく気まずかったのは心の中に秘めておくことにする。


「実、名前、もう帰るよ。」
『はぁい。』「あー」


まあ、私も幼女=幼稚園児だよね。
それにしたって私ってば、榎木家に馴染みすぎじゃない?
え?下手すれば、一日中榎木家にいるんだけど。


「あ。」
「あ、この前の兄ちゃんと名前。」
『あ、マサくん。』


そんなことを考えながら靴を履いていると、たまたま私と同じクラスの男の子が通った。
さらにいえば、その子ってばこの前実くんに積み木で殴られたんだよね。お姉ちゃんびっくりしました。


「おでこ、まだ痛い?」
「もう大丈夫だぜ。」
『マサくん、今日も元気に遊んでたもんねー。』
「おー。」


拓也くんがマサくんのおでこを見てる横で、私はクスクスと笑いながら今日あったことを思い出して笑う。
うん。今思い出しても一加ちゃんとの争いはすごかった。


「う"ーー」

ドンッ

『え、』
「みっ、みの「きゃぁぁあっ!マサくん!!」


何故か実くんがマサくんを押した。しかも思いっきり。
おかげでマサくん涙目…ってか泣きながらお母さんにしがみついてるよ。さらに言えば、お母さんも怒り心頭だわ。


「まぁた、その子ね〜〜〜!あなたもねっ、お兄さんならちゃんと見てなさいよ!!一度ならず二度までも!うちの子に恨みでもあるのっ!?」
「ご、ごめんなさい…」


ペコペコと頭を下げて謝る拓也くん。

なんか、本気で拓也くんがかわいそうになってきたわ…
どんだけ責められるの…!

私がそんなことを思いながら、拓也くんの足にしがみついていると、実くんが動いた。


「きゃっ、」

ポカポカ

そんな音を立てながら、実くんはマサくんママを叩く。音はすごく可愛いけど地味に痛そう…


「ちょっとちょっとぉ、なによこの子はぁ!」
「み、実っ、やめろ!実!」
『実くん!だめだよ!』


私と拓也くんはそう言って実くんを止めようとするけど、私の力じゃ実くんを止められなかった。
結局、実くんは拓也くんが抱っこして止めることに
くそぅ。この幼女姿が憎い。


「あぅ〜〜〜」
「ま…まったく…、ばか」
「ほっ本当バカだわ…」


拓也くんは実くんを抱っこすると、すごく優しい顔で実くんにばかと呟いた。

ちょ、なにこの兄弟愛!お姉さん泣ける!


「ごめんなさい、言えるか?」
「〜〜〜〜ちゃーい、ごめちゃ〜〜ごめちゃ〜〜」
「ぐっ、ま、まあ、今日のところは…」


そう言ってマサくんとマサくんママが帰ろうとするので、私はそれを追いかけて、マサくんママのスカートの裾を引っ張る。


『あの、マサくんママさん。』
「な、なに、」
『実くんがごめんなさい。マサくんも、ごめんね?』


私がそう言うと、泣き止んでいたマサくんがにっこりと、涙の跡が残る顔で笑った。


「だ、大丈夫だ!」
『本当にごめんね。マサくん、こんど一緒に遊ぼうね。マサくんママも、実くんがごめんなさいでした。』


にっこり笑ってから、私はクルリと回れ右をして拓也くんの元へ走った。

ちなみに、その後謝ることを覚えた実くんはなんでも謝れば許されると思うようになったらしい。拓也くんがマンガを破られて泣きそうだった。


「あ、そのままそのまま。撮るぞー。」
『はるみさん、わたしも一緒でいいの?』
「いいの。いいの。名前も半分榎木家の人間だしな。」


春美さんの腕に抱き締められながら、カメラに顔を向ける。
これってば家族写真だから、写っていいのか聞いたら、榎木家の人間って言われた。
ちょっとだけ嬉しかったのは秘密。


「パパ。」
「ん?」
「冷たい……」


結局、写真は実くんのおもらしのせいでなかなか面白しろい写真にできあがった。


「どうせだから、拓也か実と結婚して榎木って苗字になればいいのにな。」
『…?なんか言いましたか?』
「ははっ、なんでもないよ。」


春美さんがそんなことを考えていたなんて私は知らない。


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bkm
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