目が覚めると薫ちゃんのどアップだった。
『んぎゃんっ、』
「よ、よかった〜!名前が目ぇ覚めた!」
そのまま薫ちゃんに抱き締められる。
あれ?なんで?
てか、ここどこ?
「ここは皆本さんの家よ。」
「目が覚めたんだな。」
「ほんま心配したんやで!」
『あれー?なんで私って寝てたんだっけ?あれ?てか、皆本サンの怪我どうしたの?』
薫ちゃんに抱き締められたまま、コテリと首を傾げれば、何故かみんなに驚いたような顔をされた。
へ?なんで?
「な、なに言うとんねん!」
「な、なぁ、じーちゃんのこと覚えてないのか?」
『?私におじいちゃんなんていないよ?』
意味わからなーいと笑うと、驚いた顔から一変。
三人は泣きそうな顔、皆本サンは真剣な瞳になった。
「…紫穂、名前の心読みとれるか。」
「………だめ。本当に知らないみたい。」
『だからさー、なんのことー?』
それから私は着替えさせると、B.A.B.E.L.の検査室?でなんかいろいろ検査されることになった。
うん?なんで?もうわけわかめー!
皆本Side
「記憶が書き変えられてる…?!」
様子のおかしい名前を検査した結果、伊号中尉との記憶を書き変えられたことがわかった。
僕が怪我したこともないことにされている。
『ねぇねぇ、なにがあったのー?』
「…なんでもない。帰るぞ。」
『へ?もー帰るの?』
「皆本さんもそう言ってることやし、はよ帰ろうや。」
気を効かせたのか名前の手を繋いでテレポートで帰った葵にありがたく思いつつ、考える。
どうしたら記憶が書き変えられるのか。
それは一つしか考えられない。
彼女の超能力だ。
名前の超能力は催眠能力。
自分に暗示をかけたんだろう。
だが、なぜこんなことをする?
「トラウマじゃない?」
「!…なんで紫穂がいるんだ……」
「あたしもいるっつーの!」
そんなことを考えていると、葵たちと帰らなかったらしい紫穂がベタベタと僕に触ってきた。薫は超能力でプカプカと浮かびながらムスッとしている。
「で、紫穂、トラウマってどういうことだ?」
「名前ちゃんって、親が戦争で亡くなってるって言ってたでしょ?だから、それが無意識のうちに記憶を書き変えた理由じゃない?」
「いやいや、ちょっと待て。名前は親が戦争で亡くなったのか?」
「知らなかったのか?」
薫に言われて思い当たるところを考えてみるが、やはり聞いたことはない。
「だが、もしそれが本当なら人が死ぬことにトラウマがあるってことか…」
「たぶんね。」
「なー、皆本ー腹減ったしさっさと帰ろうぜ!」
「薫はもうちょっと考えろ!」
薫に呆れつつ、まだまだ謎が多い名前に頭を抱えた。
それでなくても、チルドレンはめんどくさいやつらが多いのに…!
「薫ちゃん、皆本さん、私たちのことめんどくさいって。」
「なにーーーー!!!」
「ぐはぁっ、」
痛む身体に眩暈がした気がした。
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bkm