なんだかんだで伊号さんとみんながいる島に戻ると、B.A.B.E.L.の船が来たらしい。
その船に局長がテロリストを搬送するために向かった。
でも、さっきから嫌な予感が止まらない。
船はダメ、な気がする。
「どうしたんだ、名前。」
『皆本さん、嫌な予感するの。私、船に行かなくちゃ。』
自分の身体が震えているのが分かった。
でも、今行かなくちゃ私はきっと後悔する。
私が海を泳いで向かおうとすると、皆本サンと葵ちゃんに止められた。
「危ないからやめろ!」
「そうや!なんならウチがテレポートするで?」
『ほんと?!じゃあ、私を船まで送って!』
葵ちゃんの言葉に泣きそうになりながらお願いと懇願する。
早く、早く行かなくちゃ…!
でも、そこで紫穂ちゃんが大変なことに気付いた。
「ねぇ…!おじいちゃんはどこ?!」
「え……!?じーちゃんならここに……!!」
い な い
「葵!僕を中尉のところまでテレポートで向かわせてくれ!」
「え、で、でも、」
「急げ!」
そう言って切羽詰まった顏をする皆本サン。
葵ちゃんはその勢いに圧倒されて皆本サンの言うとおりに彼を伊号さんのところまでテレポートで送った。
それから私たちは薫ちゃんの念動力で船まで向かう
あぁ、だめ。震えが止まらない。
恐い、恐い、
「皆本!?じーちゃん!?」
『っ、』
私たちが船に着いたときはもう遅くて、二人とも銃で撃たれて血が出てた。
『やだ…!』
「名前?!」
薫ちゃんの念動力を遮って私は海に飛び込む。
すると、海の中では伊号さんと皆本サンがテレパシーで何かを話しているようだった。
『伊号さん!』
《君カ…君ハコレカラ色々ナコトデ悩ムコトガアルダロウ。ダガ、自分ヲ忘レルナ。私カラハソレダケダ。》
『っ、行かないでよ!』
《老兵ノ私ナンカヨリ皆本クンヲ連レテ行ッテヤリナサイ。》
伊号さんがチラリと見たので私も伊号さんが見たところを見る。
すると、そこにはたくさんの血を流して苦しそうな皆本サンがいた。
『ぁ…!』
私が皆本サンに駆け寄ると同時に身体が何かに引っ張られる感覚。
それに一瞬目を瞑ると、目を開けた時にはすでに船の上にいた。
『皆本サン!皆本サン!死なないで?死なないでよ!』
「ぅ…、」
『やだやだやだ!死なないで!』
子どものように泣きながら、皆本サンの名前を呼び続ける。
すると、とたんにプツリと何かが切れる音がして、私は意識を失った。
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bkm