リンゴとハチミツ


えーっと、不本意ながら記憶を持って転生して四年

なんだかいろいろめんどくさい世界に生まれちゃったらしいです。


「なまえちゃー、」
『ん?なぁに?実くん。』
「あーい。」


うん。なんで私が子守りを…
いや、可愛いよ?すごくすごーく実くん可愛いよ?
でもさ、


「名前、大丈夫?」
『だいじょうぶだよ。たくやお兄ちゃんこそだいじょうぶ?』


私も幼女なんだよぉぉぉお!!!!!!
したったらずな自分が恨めしい…!


「ごめんね。あとちょっとで宿題終わるからそれまで実のこと任せてもいい?」
『うん。たくやお兄ちゃんは、しゅくだいがんばってね。』
「ありがとう。」


にっこりと幼女スマイルを拓也お兄ちゃんに向ければ、拓也くんは私の頭を一撫でしてから宿題をするため机に向き直った。


ちなみに私は彼らの兄弟ではない。
しいて言うなら幼馴染?
そんな私がなんでこんなところにいるのかって言うと……、うん?なんでだろう?

私はいわゆる前世というものを持っている。
前世では私は大学生だった。
うん。がんばって受験して合格したっていうのに目が覚めたら赤ちゃん。
…私がなにをしたっていうんだ。この野郎。

まあ、なってしまったものはしょうがない。
問題は私の両親がすごく若いってことだ。
下手したら私より年下だったんじゃないかな。
その両親は私を育てるのは無理だと早々に判断したらしく、私を父方の祖父母の家に預けた。
で、さらにその祖父母が預けたのが隣の家の榎木家。
その榎木家の子どもが拓也くんと実くんだったってわけだ。


「あー!」
『あー、ごめんね。ほら、あそぼ。』
「あい!」


ちなみに、この子たちの母親はつい先日交通事故で亡くなった。
この子たちの母親ーー由加子さんは私の母替わりでもありまして、はい。恥ずかしながら彼女が亡くなった時は私も大泣きしました。

てか、もう軽く私ってば榎木家の一員だよね。一日中、榎木家にいること多いし。


「名前、宿題終わったからもう大丈夫だよ。」
『わっ、』


宿題が終わったらしい拓也くんは私を抱き上げる。
それに驚いて声を漏らせば、拓也くんはにーっこりと微笑んで私を抱き締めた。
…これは、ロリコンに入らないよね…、?


「あーあー!」
『たくやお兄ちゃん、実くんがなんかいってるよ?』


実くんは拓也くんの足に抱き着いてあー、と私よりしたったらずに何かを叫ぶ。


「実は名前ちゃん大好きだからね。しょうがないよ。」
『みのるくん、かわいーね。』
「僕は名前の方が可愛いと思うよ?」
『………』


あれ?拓也くんってロリコン?

静かに私を降ろしてにっこりと微笑む拓也くんを見て、背筋がゾワリとしたのは秘密である。
いや、拓也くんは可愛いよ、可愛いんだけどね。
なんだろう…身の危険がして…、


「じゃあ、三人で遊ぼうか。」
「あい!」
『はぁい…』


とりあえずまだ拓也くんは小学生だし。
大丈夫だよね。うん。


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bkm
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